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赤ひげのJumblesoulのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
4.0
原作を読んだ直後に映画を観る企画その2。
山本周五郎の原作はタイトルこそ『赤ひげ診療譚』となっているが主人公は加山雄三が演じた保本登で、彼の成長物語になっている。次作の『どですかでん』と同じく、連作短編形式の原作からエピソードをチョイスした構成。
冒頭の保本が狂女に殺されかかる話や、一家心中の話は原作通り。ただし、二木てるみの熱演が光る薄幸の少女おとよのエピソードは黒澤監督のオリジナルである。原作では赤ひげが養生所に引きとろうとすると、娼家から脱走してしまいそれきりなので、コソ泥の子供長次との絡みも一切ない。まかないのオバさん達が死にかかった長次の名前を井戸底に叫ぶ場面は原作通り。
赤ひげがUFCの選手みたいに暴漢達をキックやサブミッションで一網打尽に倒す場面は映画のオリジナルかと思ったが、これも原作に出てくる。
今回観直して一番見事な名演と感じたのは、娼家の女主人役杉村春子さん。こんな芝居ができる女優は、後にも先にもこの方だけだろう。
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