チーズマン

近松物語のチーズマンのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
4.4
少し前の、午前十時の映画祭にて。

いや、おもしろかったなあ。
結局その週に2回観に行ってしまった。

江戸時代、京都の商人の世界を舞台に描かれる“男女のこと”を描いた時代劇なんだけど、小さなほころびをキッカケに「茂兵衛」と「おさん」及び登場人物達の状況が変化するに連れて次々とジャンルが変わっていくような面白さを味わいながら最後は違う景色で最初へ戻るというね。
結構笑えたりして楽しいんだけど、どこか死の匂いがするからかとても作品全体的に艶っぽい。
特に、おさん(香川京子)のお歯黒のやたら上品な色っぽさだけじゃなくて展開を追うごとに少しづつ素へと変化していく見た目も込みで魅力的だった。


2回目観た時は、とにかく、公卿から奉公人に至るまで徹頭徹尾「お金(ゼニ)」という得体の知れない大きな何かに翻弄される人々の人間模様として面白く観れた。
その「お金(ゼニ)」という仕組みの内側で敗者となった者、かたやその外側で勝者となった者“、そこへ生と死”が捻れて捻れて絡み合ってることでエモいけど結構考えさせられもして、ベタな表現になってしまうけど上質な余韻で終わる映画だった。
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