近松物語の作品情報・感想・評価

「近松物語」に投稿された感想・評価

Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.0
「近松物語」
溝口が同じく54年に山椒大夫と共に世に出した傑作の一つで大映セットが本当にカッコ良く和を感じれる。見所は数知れず鑑賞中独り言を放ってしまう。溝口監督は長年女性の立場からリアリズムを追求し徹底した作品作りに挑んでる。雨月の琵琶湖のシーンも本作の琵琶湖のシーンも神秘的だ。
近松門左衛門の「曽根崎心中」はこれまでに何度か映画化されてきたが、溝口健二監督の本作はまさにそれの決定打といえる。全編、墨絵のような美しい映像で男と女の情念の世界を彩っている。

主演の長谷川一夫の中性的で飄々としたキャラがこの映画の見所の一つにもなっており、香川京子以上にインパクトがある。ある意味、男女の腐れ縁を描いている意味で成瀬巳喜男の「浮雲」と双璧かも知れない。封建制の日本ってやっぱり怖いわ。
日本映画の巨匠 溝口健二 1954年の作品

傑作の誉れ高いこの作品、何度も観るチャンスはあったのですが、私的にはタイトル含めあまり魅力を感じられず、何だかとっつきにくそうで難しそうでもあり今まで未観賞のままでした。
昨年発売されたデジタル修復版のブルーレイにて今回やっと初観賞。

不義密通は死罪とされた酷い封建時代の物語
ちょっとした誤解が重なった事で、使用人の茂兵衛と主人の妻おさんは、不義密通を疑われてしまいます。
追い詰められた二人は入水自殺を図ろうとしますが、茂兵衛からの愛情の告白におさんは生きる事を決意し
行き場のなくなった二人の逃避行が始まります…

観てみると、観る前に持っていた作品への印象とは大きく違っており
溝口作品の中でも分かり易くとても見やすい作品でした。

ストーリーも登場人物たちもしっかりと作品の中で無駄なく活かされており、大変見応えがあります。
名匠 宮川一夫のカメラワークも惚れ惚れするような素晴らしさ。

小舟の上で、入水自殺を思いとどまりながらも、二人のこれから訪れる悲劇を感じさせる不安定な映像。
峠のお茶屋におさんを残し、姿を消そうとする茂兵衛
茂兵衛を必死に探し山を駆け降りるおさん、置き去りにされたおさんが感じているように、観客にも不安を感じさせるように徐々に広がる俯瞰の映像。
この二つの場面の映像は特に印象に残ります。

日本映画の黄金期の作品
映像はモノクロでスタンダードサイズ、音声はモノラルなのですが
映画芸術の粋をこらし、洗練された魅力を感じさせてくれる時代を越えた大傑作です。

私のように、いつまでも食わず嫌いでいるともったいないですよ(笑)

このレビューはネタバレを含みます

危機的状況が愛情を炙り出す。

借金とセクハラからボタンの掛け違いが起き、最悪のバタフライエフェクトの連鎖を起こしていく映画。
まるで生き物のように社会が蠢くスリラー感が恐ろしい。

潜在意識を解放し恋する女として死んでゆく香川京子に清々しさを感じた貴女、日々に抑圧されてますね!!
Kuma

Kumaの感想・評価

3.7
実家に金の無心をされた奥方。ケチな旦那に相談できず、奉公人に依頼するも、バレてしまう。正直に話せない二人は結果として、駆け落ち同然に逃げることになる。

歌舞伎のような、拍子木等の煽り音楽が見せ場を盛り上げてくれる。
少しわからない言い回しもあったけど、話はわかりやすい。

たった一言で、自殺を思いとどまらせるシーンが好き。
シネマQ

シネマQの感想・評価

5.0
あの心中のシーンだけでも超凄い。アホみたいだけど超凄いとしか言えない。
yuko

yukoの感想・評価

4.2
2018.5.26 札幌プラザ2.5
(札幌映画サークル)
シネマトーク:香川京子さん・楢部一視さん

商家の若き奥様と使用人が、不義密通の濡れ衣を着せられ追い詰められて湖に身投げすることに。そこで使用人から「ずっとお慕いしておりました」と告られ、急に「死ぬのが嫌になった!」と言い出す奥様。
そこから二人の過酷な逃避行が続く。
ラストシーンの奥様の凛とした微笑みが素晴らしい。

上映後トークで、その奥様を演じられた香川京子さんが「死のうとしてる時にあんなこと言われたら男の人困っちゃうわよね(笑)」って。
87歳とはとても信じられないキュートな香川京子さんでした。
notitle

notitleの感想・評価

3.8
近松の世話浄瑠璃『大経師昔暦』を基にした作品。大経師の主人の妻と、手代の偶然と誤解の連続が生んだ不条理劇。彼等の優しさと、周りの諸問題が事を大きくし、愛を育てる。恵まれぬ二人の逃避行。商店内のセット&カメラワークが素晴らしく、にやつく。
私のとても好きな映画です。久しぶりに観ました。捨てシーン一切なし。捨てセリフ一切なし。ショットがあり、カットがあり、シーンがあり、シークエンスがあり、映画になるという見本のようで。それまでの静けさが愛の告白とともに動へと転じる描き方もすばらしいです。
『お前の今の一言で、死ねんようになった』ってやっぱりすごい破壊力。

久しぶりに鑑賞。ひとりの利己主義野郎のせいで、大切な人を庇いあった人々が最悪の方向へ…というのが日本人らしいストーリーラインだなと思う。
最後のシーンを見ることで最初のシーンの罪人たちの見え方も全然違って見える。
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