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近松物語のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
4.0
17世紀、実際にあった「おさん・茂兵衛不義事件」をもとに、近松門左衛門が「大経師昔暦」(だいきょうじ むかしごよみ、通称「おさん茂兵衛」)という人形浄瑠璃を書き、
現代になり、新派の川口松太郎がそれを戯曲化したものを映画化。
脚本は、依田義賢が、同一事件を題材にした井原西鶴の「好色五人女」の「おさん茂右衛門」を合体して作ったもの。
溝口健二監督の代表作の一本。

宮中の経巻表装と毎年の暦の独占刊行権を持つ京都の大経師内匠(たくみ)という身分の以春/いはる(進藤英太郎)は、名字帯刀を許される身分だが、ケチで浮気者。
その二度目の若い妻おさん(香川京子)と、手代の茂兵衛/もへい(長谷川一夫)は、ふとした偶然で不義を疑われ、一緒に逃亡することに。
その逃避行で真の愛が芽生え…

~印象深い共演者~
・小心で腹黒い主手代の助右衛門(小沢栄太郎)、
・茂兵衛に思いを寄せる女中のお玉(南田洋子)、
・おさんの母おこう(浪花千栄子)

しっかりした脚本、
監督の厳しい演出、
役者の情感溢れる演技
(びわ湖上の小舟のシーンなど)宮川一夫の美しいモノクロ撮影、
邦楽を自在に駆使した早坂文雄の音楽、
いずれも見事。
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