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暴力教室のtakのレビュー・感想・評価

暴力教室(1955年製作の映画)
4.1
個人的プロジェクト「名作映画ダイジェスト250」(ロードショー誌80年12月号付録)制覇計画のためセレクト。

両親の影響でいわゆるオールディーズをあれこれ聴いていたもので、Rock Around The Clockが使われた映画として本作の存在は知っていた。
One Two Three O'clock
Four O'clock Rock♪
実際に観るのは今回が初めて。不良の巣窟のような高校で働くことになった新任教師が、学ぶ姿勢のない生徒たちにいかに接するかを悩みながらも、次第に信頼を勝ち取っていく姿を描いた作品。

音楽から知ったせいで、不良少年のロケンロール映画だと勝手な先入観を持っていた。とんでもない。扱うテーマは実に重い。映画冒頭には、現場の問題を世間に知って欲しい…めいた内容のテロップが流れる。50年代のアメリカでは社会問題となっていたことがうかがえる。

「暴力教室」とのセンセーショナルな邦題がつけられたのも理解できる。女性教師への強姦未遂から始まって、路地裏で主人公がストリートギャングに囲まれ、彼の家庭への嫌がらせ。公開当時の日本でも国会議員が内容を問題視して、上映制限や禁止を働きかける事態が起こったと聞く。当時としては衝撃的な映画だったのだろう。僕は「3年B組金八先生」第2期の"腐ったミカンの方程式"をリアルタイムで見ている80年代青春組。大人たちが騒いでたのをよーく覚えている。似たような騒ぎだったんだろう。90-00年代なら「バトル・ロワイヤル」で大人たちが騒いでた様子を思い浮かべたらいいかも。

グレン・フォード演ずる新任教師が、黙って睨みつける生徒たちの間を通って通勤する場面のうすら寒い怖さ。数学教師が嫌がらせを受ける絶望感や、夫の浮気との嘘を信じて精神を弱らせていく妻の姿は、痛々しくて辛い場面ではある。

そうした重苦しい流れを変えてくれるのは、逃げない主人公の姿。ジャックと豆の木のアニメーションを見せて、それをテーマに授業をする場面では、ジャックの貧困、大男とジャックの立場の違い、大男を殺して幸せを掴むことの賛否、と様々な意見を引き出す。ものの見方、立場や人種の違いを考えさせるきっかけにする試みだ。僕も映画をネタに世間を考える授業をやったことあるもので、この場面はグッときた。そしてそんな主人公の行動が少しずつ周囲の先生方も変えていく。

教室でナイフを抜いて暴れる生徒と向き合うクライマックス。ついに主人公はこれまでの怒りを口にする。他の生徒たちとの間に芽生えていた信頼が感じられるこの場面、なかなか感動的だ。しかしながら、この映画は生徒たちの身の上、彼らが非行に走る原因に深く立ち入らない。第二次大戦の影をチラつかせる程度だ。学校で起きている社会問題を世に示す映画ではあったが、そこはちょっと保守的な映画と受け取れなくもない。教室で暴れる生徒を抑え込んだのは星条旗だったし。それでも、黒人生徒(シドニー・ポワチエ)との交流がしんみりとした感動をくれる。

妻役のアン・フランシス。見たことあるよなー、と思ったら「禁断の惑星」のヒロインなのか。
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