Panierz

コード・アンノウンのPanierzのレビュー・感想・評価

コード・アンノウン(2000年製作の映画)
3.9
無知による排除。暗号によって遮断されるコミュニケーション。移民問題を取り上げ断片化された群像劇として作り上げた「71フラグメンツ」と軌を一にしながら、各断片をシークエンスショットで撮影することでより深くリアリズムを追求している。他人には分からないコードを使用して行動する人たちをフォーカスして、コミュニケーションの不可能性を喚起するハネケの一貫性に感心するとともに、過去作に比べれば明示的すぎる気もしなくもない。しかも音楽によってコミュニケーションが可能となる楽観的な希望が僅かながら提示され、ハネケに少し優しさを感じてしまったりもする。しかしラストシーンで聾唖者が鑑賞者に向かって語りかけてることに気づいた時、当事者として不安定な現実に一気に引き戻されてしまう。本当によくできた映画。
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