アビルキイチ

白い巨塔のアビルキイチのネタバレレビュー・内容・結末

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

唐沢寿明もいいけど、田宮二郎の方がよりハマっていたように思う。溢れ出す野心が具現化したような顔だった。激渋です。
また映画版はドラマ版ほど余計な要素ややり取りが無くて見やすくて良かった。
田宮二郎はドラマ版の白い巨塔を撮っている途中で亡くなっている。映画版の白い巨塔で主演として財前五郎を演じて以来、田宮は常に高みを目指す財前の姿に自分を重ね、自身の本名と同じ「ごろう」であったこともあり、財前五郎を演じるのは自分しかいない、原作のラスト・財前の死までを演じ切りたいと思い続けていたようだ。 
財前五郎にのめり込み破滅していく田宮二郎、権力にのめり込み破滅しかける財前五郎。面白く、奇妙な構図である。
財前五郎というキャラクターは、常に高みを目指す、そのための手段は選ばない、という点で一貫しており素晴らしい。岡山の貧しい田舎者が医学部の教授になるにはこれぐらいの野心や気概やバイタリティがないと無理なんだろうな、しかし彼にはそれがある。と演技、演出の中で感じさせられた。医師として良いか悪いかはさておき、個人的にはすごく好きだ。普通に女を殴るとか昭和的なのも見られるが。
個人的に、財前五郎及び田宮二郎の辿る人生はかなり示唆深いものがある。
医学者としての倫理を重視する里見や大河内教授などのキャラも、彼らは彼らで筋が通っていて良い。里見が主人公で映画を一本作るとかできそう。