スギノイチ

白い巨塔のスギノイチのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.3
1978年のTV版がドラマ史に残る名作であるという評価に異論はないが、画としてはこちらのほうが優れてると思う。
舞台となる病院の、巨大で真っ白なビジュアルがタイトルを象徴する(TV版は権威的な建物ではあったが、外観は普通の大病院だった)。


「当時の田宮二郎は財前を演じるには若すぎた」というのが定説化してるが、俺はこの青さこそが良いと思う。
『女の勲章』や『黒シリーズ』もそうだが、ハイスペックでありながら器以上の成果を求めて苦悩する、その分不相応感が実に人間臭い。
教授が決まったときの、顔面中の毛穴が開いたようなガンギマリ顔とか、教授になったからってヒトラーみたいな口髭(しかも似合ってない)生やすのとか…
こういう滑稽なまでのハングリーさは、中年期の田宮二郎の演技だと合わない。
ラスト、”総回診”の時代劇のような演出は皮肉満載で秀逸。
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