1964年公開。ソ連と核廃棄条約を締結した米政府と、これを国家的危機と捉え水面下でクーデターを企てる軍部との攻防を描くポリティカルサスペンス。
J.ゴールドスミスによる超ソリッドな主題曲×洗練されたグラフィックのオーニングクレジット、からのテロップもセリフも使わずホワイトハウス前のデモ隊が掲げるプラカードだけで状況を説明する冒頭のシークエンスにさっそく痺れる。あらイイですね！基本は会話劇が中心でアクションシーンはほぼ皆無、セット内の撮影が大半を占めるので映像的なスリルには乏しいものの、終盤へ向かうほど加速度的に緊迫感＆ドライブ感が高まるドラマの骨太演出は流石フランケンハイマー。めちゃくちゃ面白い。
キャストでは大統領チームのフレドリック・マーチとマーティン・バルサム、エドモンド・オブライエンの親父3人組が抜群に良い。彼ら中高年俳優の顔面力＆演技力が物語をグイグイ牽引する。脚本はなんとロッド・サーリング。近未来のアメリカを舞台にした大胆な発想は、なるほど彼らしいと言えるかも。
ただラストの大統領による高潔なスピーチは、米国やハリウッドの実体がチラついて空々しく感じられるのも事実。118分。
