ゴン吉

あかね空のゴン吉のレビュー・感想・評価

あかね空(2006年製作の映画)
4.1
人の縁を描いた人情時代劇。 
原作は山本一力の直木賞を受賞した時代小説。
内野聖陽と中谷美紀が共演。 

空があかね色に染まる夕刻の時分に、息子を連れた豆腐屋の夫婦が橋の上で知り合いと立ち話をしているうちに息子がいなくなってしまう。
ある時、上方から豆腐職人が深川の蛤長屋に越してくる。
やがて上方から来た豆腐屋は長屋の娘と結婚し、二人の息子と一人の娘を授かり幸せに暮らす。
二人は、息子が行方不明のままで跡取りのいない老舗の豆腐店の店舗を借りて、堅実な商売を続けていくが、成長した長男が博打にはまり多額の借金をしてしまう…   

子供が迷子でいなくなった老舗の豆腐屋と、子供とうまくいかない上方からやってきた新参者の豆腐屋の人生が交差する。
義理と人情を交えながら様々な人間ドラマが繰り広げられる。
主演の内野聖陽が一人二役を演じ、全く立場の違う役でありながらも、どちらも家族を支える役柄で、配役へのこだわりが感じられる。
また中谷美紀が、時には可愛い若い町娘、時には夫を支える良妻、時には夜叉、時にはしっかり者の母親を好演している。
空のあかね色が、ストーリーで重要なキーとなる腕の痣の色をかけているのも秀逸です。
独特の色彩が印象的で、空があかね色になるのは夕刻だけでなく、ラストでは明け方でもあかね色に染まってホッコリです。
直木賞を受賞した時代小説が原作だけあり、しみじみとした余韻が残る佳作です。
「余程ご縁があるようですね」 

2023.3 BS日テレで鑑賞(特選時代劇)
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