Uえい

英国式庭園殺人事件のUえいのレビュー・感想・評価

英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)
3.5
初グリーナウェイはなんといっても映像が衝撃だった。17世紀のイギリスを舞台に、宮廷画家が絵を描いていくのだが、ショットの構図が絵画的でキューブリックのように完璧主義的な雰囲気を感じた。舞台の建物や庭、そして衣装が凄く、誇張されてうさ耳の様になったカツラが印象的だ。

画家のネヴィルはハーバート夫人から12日で12枚の絵を無理に依頼されてしまう。夫との不仲を解消するため、大好きな庭園の絵を送りたかったのだ。そして、ネヴィルは絵を描いていくのだが、構図を決めるためのグリッド線の役割をするフレームを使う。それがカメラの様で、カメラで撮っているところを撮影しているかの様な変な異化効果があった。

絵を描いているうち、建物に普段はないハシゴや犬などが存在する事に気づき、行方不明のハーバート氏の謎が浮かび上がってくる。サスペンスの雰囲気だが、謎が多く、全ては解決しないのが不思議だ。そしてネヴィルは仕事を終えて屋敷を離れていたが、ハーバート氏の死体が見つかったことで葬儀に出席するために戻ってくる。そして、犯人や、自分も犯行に加担されていたことを知るのだった。

「女王陛下のお気に入り」で参考にしたと聞いた時から気になっていて、まさにこれがルーツだったか!と思わされた。

一番印象に残っているのが銅像のふりをする謎の男だ。最後まで誰かわからず、ただただ映像に溶け込み、全てを見ている様だった。ネヴィルの絵にも描かれていて、絵から飛び出してきたかの様にも思えるチャーミングさで最高。
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