唸る程に面白いと思ったら成る程スティーヴン・キング原作だし、ブライアン・シンガー監督だし。
90年代の名作発掘に心踊る。
ロサンゼルスに住む高校生トッド(ブラッド・レンフロ)は成績も優秀で周囲からの評判も良かった。彼は授業でホロコーストについて学ぶ内に、強く関心を持つようになる。ある日、バスで見かけた老人アーサー・デンカー(イアン・マッケラン)が元ナチスの高官だと知ったトッドは、彼を脅迫し事実を公表しない代わりに、収容所時代の詳細な話をする様に要求する。
ああ、麗しき超絶イケメン、ブラッド・レンフロ!!
最近見かけない…。
あ、そうだった。
彼は25歳の若さで亡くなったんだった。
ヘロインの過剰摂取で!!
大好きな俳優がことごとくドラッグでその命を絶ってしまう遣る瀬無さ。
そして、サー・イアン・マッケランの鬼気迫る演技が凄い!!
特徴的なイギリス訛りをドイツ訛りに変え、かつてクルト・ドゥサンダーという名でユダヤ人の大量虐殺に関わった元ナチス高官を好演。
この2人の演技の掛け合いが素晴らしい!!
歯止めが利かなくなった少年の好奇心は自らに眠る悪を目醒めさせ、静かに暮らしていた老人の眠らせていた筈の悪を呼び起こす。
2つの悪が出会い、反発しながらも惹かれ合う。
少年が闇を覗く内にその闇に堕ちて行く様。
少年と老人の間で主導権が移って行く様。
この心理描写が極めて上手い。
繰り返される攻防から目が離せない。
デンカーにナチスの軍服を着せ、行進の号令をかけるトッドに狂気すら覚える。次第に当時の記憶を取り戻していくデンカーの描写も恐ろしい。
いや、あと猫のシーンね。
ああ、恐ろしい…。
2人だけの危険な遊びがやがて辿り着く終着点。
それは老いた悪魔の断末魔と若き悪魔の産声。
悪の継承とも言えるシーンを両者の細かなカット割りで交互に見せる手法が俊逸。
予想も出来ない展開がドミノ倒しの様に終盤を盛り上げる。
汚名は一生消えない。
ナチス強制収容所の元看守が95歳にして、50年暮らしたアメリカからドイツへ強制送還されたニュースを思い出した。
そうか、あの時の恐怖や悲しみもまた一生消えないのだ。