あなぐらむ

ギターを持った渡り鳥のあなぐらむのレビュー・感想・評価

ギターを持った渡り鳥(1959年製作の映画)
3.9
マイトガイ・小林旭を決定づけたロマン・アクション。
函館を舞台に描かれる活劇はしかし、親子・兄妹の情の話に落とし込まれて、メロドラマの様相を呈していく。
フェードアウト、オーバーラップによるカット繋ぎがそれに拍車をかけるが、これは監督・斎藤武市が松竹大船育ちな為か。人の立ち姿、人の配置、構図は映画の見本のようでもある。
チーフ助監が神代辰巳。彼の監督作に海、砂浜、鴎が多くモチーフになるのは、この斎藤監督とのコンビのせいではないかと思ってしまう。

やはり浅丘ルリ子は美しいが、ヴァンプな白木マリのダンス、渡辺美佐子といった助演の確かな仕事が印象に残る仕上りに。
宍戸錠は今回はまだまだ「エースの錠」を確立できてはいない感じだが、独特のセリフ回し、ダイスをふるカッコよさはたまらない。
金子信雄は何年同じような役をやっとったんだ。(今回はルリ子の父役)