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桐島、部活やめるってよのsのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
3.5
斜に構え過ぎたかもしれない。高校は女子高だったので共学だった中学時代を思い出しながら観た。
屋上で交わされる二人のシーン、「逆光だよ逆光」と笑う神木隆之介の笑顔が眩しく、そこにはたしかにお互いの視点が入れ替わったような感覚があった。それに気付いた東出は涙を流し屋上を後にするけれど、正直彼の心境を理解することはできなかった。
唯一近くに感じたのが橋本愛の役だった。中学に入ると小学校で普通に仲の良かった一部の男子は神木くん的な枠の人となり、自然と疎遠になった。親同士が仲良かったりするとさらに気まずく、何も知らない母親は、「今日◯◯くんのお母さんと会ったよ!学校で◯◯くんと話したりする?」なんて聞いてくる。悪い風には言えないから適当に返してやり過ごす。勘弁してくれと思った。

部活の試合がない土曜日は、仲の良い6人グループ(みんな他小出身だった)で遊びに出かけた。サイゼリアで300円そこらのミラノ風ドリアを食べ、いわゆる恋バナをし、カラオケに行ってEXILEや大塚愛を歌い、ゲーセンでプリクラを撮って解散した。今思えば後先考えずに遊んで暮らしていられたのって中学生の頃だけなんじゃないかと思う。厄介なことに、ゲーセンに行くとダンレボみたいなゲーム機の周りに疎遠になった神木系男子たちがいる。「あいつら毎週ここいんじゃね?マジきもいんだけど笑」みたいなことを言う友達に、私は笑って同調することしかできなかった。小学校の頃はみんな普通に仲良かったけどね、の一言でも言えたらよかったのかもしれない。だからこそあの屋上のシーンで橋本愛が松岡美優をビンタした時ものすごく心が揺れて、そのビンタは私にも強く跳ね返ってきた。

あの学校で自分が何になりたかったのか分からない。とりあえず上にいれたらよかったんだろう。この映画でいうところの、"桐島の取り巻き"の橋本愛的ポジ。一番タチが悪くてダサい人間。別にいまさら後悔も懺悔もないし、相変わらず自分の性格は最悪のままだけれど、観終わったあとは重たい虚無感に苛まれるしかなかった。
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