このレビューはネタバレを含みます
なかなか、なにが良かったかを
言葉で伝えにくいんだけど、
観る側の感じ取ろうとする姿勢の必要な
いい映画。
姿形のない桐島について考えたり、その他の登場人物のそれぞれの行動の原因を考えたりするのが、観ていて楽しかった。
確信をつくセリフはそんなに多くないものの、そこがリアルだった。
この人はこう思ってるんだろう、
聞けないけど、わからないけど、
口ではこう言ってるけど、
なんて、
なんとなく言葉尻や目線や態度から推察することしかできない。
他人の気持ちなんて、完全には分からないんだから、
戸惑ったり、意味不明になったり、
間違えた行動をおこしたり、
相手を誤解したりする、
っていう当たり前のことが、映画のなかにも出ていた。
桐島が結局出てこないこと、
それなのに、見てるうちに、
桐島の、人間像がだんだん浮かんでくること、
1人の人間は、たとえ本人が
1人きりで目の前に登場してきても、そこからは顔や体型以外の、中身はなかなか見えなくて、
社会のなかで、
周りにあつまる人間の種類、
その人達との絡みや、
その人達からの客観的な印象や、特徴と、身体能力や、
薄っぺらな肩書きで、人間らしさは構成されうるんだなと思った。
とはいいつつも
結局、本人の表情や声や態度に、向き合ってみない限りは、
なにを思っているかは感じ取ることさえ難しい
というのが
この映画から感じる矛盾と歯がゆさで、おもしろかった。