このレビューはネタバレを含みます
「桐島」がいなくなったら。
金曜日の文字のカットが入り何気ない高校生活の様子が映し出され映画がスタートするが、この後複数回同じように◯曜日とカットが入る。これは今作に登場する映画部をはじめ、クラスの女子グループや男子グループなど各視点からの様子が描かれ、クラスで陰口を言う側とそれを聞いてしまった側のように高校生活のあるあるの内部事情を余すことなく描き出している。映画を観ていて高校生活の解像度がかなり高く神木隆之介を筆頭に有名役者が揃っているがそのオーラを感じさせない自然な演技がかなり良かった。「桐島」と言う人物の名前が各所で登場するが最後までその正体は明らかにならない。だが、その「桐島」が突如所属していたバレー部を辞めると噂が広まったことで登場人物たちの関係性に歪みが生じ始める。作中では「桐島」のことを万能な人間などと厚い支持を得ていたため、「桐島」に関係する人物にとっては関係性を保つ柱のような存在であることがわかる。最後の前田と菊池のシーンは人間関係で自分を保っていた菊池が好きなことに没頭する前田に圧倒されるのが何とも凄かった。
学校という場所で繰り広げられるドラマが学校という世界を大きく濃くしていく。
最後まで見入ってしまう映画でした。
