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桐島、部活やめるってよのkoheiのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
5.0
胸の奥の方がゾクゾクする。こんな面白かったんだこの映画。2年前に見た時と大分印象が違う。あの時は何も考えずに映画を見てたんだなと思ってバカな自分に後悔。一方で何も考えず生きてるって幸せだな、ってそんなよく分からないことまで考えちゃう作品だった。

以下、原作未読なのに原作者の朝井リョウの事ばかり書いているレビューになります(^_^;)原作との変化が分からないので的外れかもしれないけどお許しを(←原作読めよって話ですね)。

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桐島、部活やめるってよ。このインパクトはすごい。あの桐島が辞めちゃったんだぜ。僕から見てもそれは驚きであり、困惑する。感情移入したのは前田(神木くん)とかバレー部のリベロだったりバド部のあの子だったりするんだけど、1番自分が似てるんじゃないかと思ったのは作者の朝井リョウ。高校時代に見たこと、想像したことがそのまま描かれているからこんなにも面白かったんだ。作者の朝井リョウは、前田でもヒロキでも無く、そいつらを俯瞰して見てたスクールカーストで言うとちょっと低めのやつだったんじゃないかな。最終的に誰も悪者に仕立てないあの感じとか共感できる。

いけてる女子とかちょっとオタクな奴とか、いけてる男子とかの見方(あるいわ想像)が自分と一緒すぎて途中で笑えてきた。学生時代にバンドやってた人が音楽映画を好むのと同じように、自分にとっては「人間観察」的なものがそれにあたるからこの映画が好きなのかもしれない。そこが抜群の観察眼を持つ朝井リョウと共感するところ。それでも朝井リョウと自分が決定的に違うのは、夢を追ったかどうか。結局のところ作者は、夢を追った自分、今を一生懸命生きてる自分ってのを肯定したかっただけかもしれないなとか思ったけど、やっぱりそうゆうやつらってかっこ良い。そこらへん説得力のある映画だった。


この映画で描かれるのはまさに夢を追うものの格好良さ、人間としての充実。

「戦おう、ここがオレたちの世界。オレたちは、この世界で生きていかなければならないのだから。」

この映画の登場人物は人を見下してたり、迷ってたり、混乱してたり、部活に夢中だったり違いはあるけど、結局みんな"根は良い奴"であって、この世界で「必死に生きよう」としている。みんな良いやつってのは決してリアリティが無いわけでもなく、実際そんなもんだと思う。必死に生きたくてもできない人、やり方に気付かない人がいるだろうし最後のシーンみたいに気付かせてくれる人がいるのがこの社会、世界。そんなメッセージが伝わってきた。
そういった社会を、学校のような、社会の縮図とも言える所に落とし込めているのがうまい。

桐島が部活やめただけで、物語の外の自分にまで影響を及ぼしてくるなんて参っちゃうよー笑
見れば見るほどいろいろ考えることができて面白い。この映画を軸にいろんな人と高校時代について語り合いたい。
最近大好きな監督になった吉田大八。最後の屋上のシーンはさすがって感じ。吹部の軽快な音楽にのせての感情のぶつかり合いが最高。ラストに向かってピッチ上げてくるのとか、大逆転劇はお決まりって感じで気持ちよかったね。期待に応えてくれてありがとう。

なんにしろ朝井リョウが好きなんです。今秋映画化される『何者』も小説はめっちゃ面白かったし、『桐島…』の登場人物が成長して就活してるようでもあるし、またも朝井リョウに共感せざるを得なかった。好きな俳優ばっかだし映画化が楽しみすぎる!!

尋常じゃなく胸が締め付けられる映画を見て、自分がやりたい事をやりたいなと思う夏の今日でした。


「だから結局、できる奴はなんでもできるし、できない奴はなんにもできないってだけの話だろ」
できる側だから言いやがってクソーーー朝井リョウのやろー( *`ω´)

2014
2016.7.30
2016.7.31
2016.8.2
2017.11.27
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