彼らにとっては学校が「国」であり全てである。
桐島という宙ぶらりんで一切顔が出ない存在が居る時点で、何か伝えたい事がある映画なのだなとは解るものの、考察を調べないときっちり最後まで理解出来なかったので、これは是非考察を読んで欲しい。
そして、面白いなあ。
物語の進み方は前記した通り、疑問が最後まで残る形になっているので嫌でも考え込んでしまうと思う。その点で釘付けなり最後まで楽しく観れるものの最後のオチに「なんだこれ」と思ってしまう人も多いだろう。曜日ごとにそれぞれの視点で観れるのも面白い。
ある意味アイドル的な存在の桐島が部活を辞めるってだけで学校は大騒ぎ。これって今の私の年代から考えると「そんなに慌てるほどのことでもない」と思いがちだが、学生達からすると学校が国であり全てで、その学校という国のカースト上位(仕切るまではいかずも着いていくべき存在)が居なくなってしまうとなると大騒ぎなのも理解できる。終始姿が映らないのも「神的存在」で霞んでしまっているようで面白い。
野球部エースだった男の子も、まあまあ可愛い彼女もおりなにごともそつなくこなし、何気なく生活してきてどこか行き詰まってしまっていた感じもある。つまり学校のカースト上位のルール的な、部活で活躍し・塾に通い勉強も出来・彼女もいる、事に虚無感を感じていたのだろう。学校ではもちろんそれが全てなので、そのレールから完全に外れている映画部の子たちや野球部の先輩を見て自分は何をしているのだと最後涙したのかな...。
バト部のバレー男子に恋してた子が終盤で「行かなくていいよ」と声をかけたのは、まるで「桐島についていく信者」になんかならなくていいよと止めているよう。彼の努力を見てきていた彼女だからこそ言えた言葉ですね。
人間の生存本能からは嫌でも逃げられない感じが辛い。
優れた誰かを先頭にしてついていきおこぼれをもらい、いざとなったら先頭を餌にして逃げれば楽だものね。それが知能を持った多種多様の人間だからもっとややこしいのだけれど。