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桐島、部活やめるってよの教授のレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
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神木隆之介演じる前田率いる「映画部」が最強。彼らを見ているだけで涙が溢れてくる。
おい!体育バカ!一生ボールに群がってろ!
おい!カラダばっかりオトナになって頭はアリ以下だな!という女子。
おい!吹部!格差つけんじゃねぇ!
という学生時代のトラウマ的な地獄を思い出した。
そして、運動に青春を費やさなくて良かったなぁと改めて思ったり、そんな青春の鬱屈を昇華してくれた。

橋本愛は本当に日本に数少ない、映画の世界の女神だなぁと思う。
彼女を起用する監督たちも、そういう役割を担わせているようで、「鉄男」観ているとか、そういうのがたまらなく良い。

映画としては舞台設定、つまり、学校という「社会」そして、社会のメタフィクションとしての学校。
手強い女たち。
男社会のヒエラルキー。
どこに行っても「社会」は付きまとってくる。
その中でどんなにバカにされても、賞をとってもギャルにはタイトル覚えてもらえなくても、映画秘宝拾ってもらえなくても、吹部にすらバカにされても。

桐島ごときの秩序にアイデンティティをグラつかされる集団よりも遥かに社会の中から自由だ。
だから、映画って最高なんだよ。

そして本作の寛大なところは、その見つめている視線で構成され、彼らひとりひとりを「どうだ!」という風には描かない。
映画がいかに自由であっても、それも社会のひとつ。
だからこそ、均等に描く。
誰かが誰かを見ているつもりで、見ていなかったり見えていなかったり。
見られていることに気付いたり、気付かなかったり。
その入れ替わる視点がまさに映画的に楽しい。
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