それだけで、十分
映画の何が好きかって、、、
もしも、それが分かってしまったら、
それって味気ない。
感情が揺さぶられることに、
理由なんていらないはず。
この「桐島、部活やめるってよ」とは、
そういう類いの映画。
俳優の技と熱量と。
そして、僕の涙。
それだけで、十分。
吹奏楽とゾンビとスポコンと帰宅部とが混ぜこぜになって迫り来る青春群像。
全編に漂う空気がすべてリアルで、
瑞々しくて。
懐かしさや緊張感、
安堵感や疎外感、
親近感に距離感。
たしかに、学校ってこんな場所だったよね、、、
あらゆる視点が交錯するように、
場面場面を別の視点から写しとる。
その重厚さは、
でもそれは、ただの日常の風景なわけで、いたって普通なんだけれど、
一人一人の視点が集まって日常が形作られているのだなと思うと、
何やら日々は深い。
その日常に、
桐島という象徴的な存在がいる。
そこを原点にあらゆる登場人物が配置されている。
かたや、桐島なしで成り立ってしまう人たちも一定数いる。
そんな、様々なスタンスが錯綜しフィナーレに向かう様は、本当に圧巻。
「僕らが好きな映画とつながっている気がする、、、」
その言葉にはっとならないわけがない。
自分の人生を振り返って、
僕が熱を持って挑めるものは一体なんだったのか、
そんなことを突き付けられている気がしてしまう。
日々、一生懸命生きているつもりだけれど、桐島を起点に生きているキャラクター達と同じで、僕だって自らの安全な立ち位置を探ってしまっているんだろうな、、、
そのメッセージが、僕にはストレート過ぎて、だからこそ、この映画を何度も見てしまうのかもしれない。
その度に、
高まる感情、そして涙。
でも、感情が揺さぶられるとは、
映画とつながっているということなんだ。
うん、
それだけで、十分だよ、
十分すぎる。