skgc

少年は残酷な弓を射るのskgcのレビュー・感想・評価

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)
3.7
えっ………………………
絶句の連続。

こんな、こんな子ども、居る?必要かどうかの「要る」ではなく、この存在への不信感が募りすぎてて、びっくりだし、怖い。
なにされたん、ってくらいの母への所業の連続で、ほんと、どうした。
邦題のセンス大好きだし今作に合ってると思うけど、全編通して染みるのは「We Need to Talk About Kevin」って原題。
話し合ったところでこの少年の問題が簡単に解決すると思えないんだけどね。

望まぬ妊娠・出産を経て愛情を持てぬまま子どもに向き合う母から、ネガティブな思いを繊細に感じ取った息子。
ってあらすじをどこかで読んだんだけど、ほんとにそうかな?
ネグレクトや虐待の元でも親への絶対の愛を持ち続ける子もいれば、愛情を注がれてのびのび育った上で反発する子もいるんじゃないかな。そこが育児の未知数なところなんじゃないかな。と思った。
だから、ティルダ演じる母親のことを責めたレビューや意見を読むとなんかちょっと切なくなっちゃうね。本編の中で、怒りややりきれなさが爆発してケヴィンに冷たくする場面もあったけど、諦めず根気強く息子として接し続ける母の姿も常にあったわけで。愛情が薄くたって、母親という立場と役目を果たそうとする気持ちは感じられたよね。

良くも悪くも似すぎている2人、ってこの作品ではあんまりにも酷な文言に思えるな。やっぱ血縁ってないものにはできないし、すれ違って行き違っているように思えても暮らしてきた毎日と接してきた時間は確実にあるわけだしな。こんな息子、と思うのに、わたしの息子だし、たった1人の息子なんだもんな。

ラストのセリフは、どういうことか全然分からなかったんだけど、いろいろ考えて、ネタバレも読んで、そういうことでいいんか…??ってなんとか腑に落ちた感じ。
彼を許容できる可能性を持つのは、ここまでのいろいろを差し引いて考えても、結局のところは、母しかいないのかな。

エズラミラー大好きなんだけど、この役から彼のこと知ってたらちょっと嫌になってたかもしれない。けどやっぱ麗しかった。でもピチT気になりすぎた。腹チラめちゃ気になった。でも結論やっぱ、エズラミラーはいいね。

なかなか後味がすっきりしない映画だけど、好きだな!

追記!
なるほどたしかに、母親が愛情を示せてなかった、笑顔を見せなかった、ってのは子どもからしたらとんでもない不信感。
他の人のレビューも読んで、諸々納得。Tシャツもそういうことなのか。
けど、おおよそおんなじ心境で産んだ妹は、ごく普通に育っているように思えた。つまりはケヴィンがケヴィンらしく愛情を渇望しすぎたからなのかな。愛を求めた、といえば味方してやりたい気持ちになるけど、なかなか肯定しにくいやりかただったね。
skgc

skgc