『愛情萬歳』などの鬼才ツァイ・ミンリャン監督の長編デビュー作。東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞、金馬獎作曲賞などを受賞し注目を集めた。
このときからミンリャンはミンリャンしてるな。今のアート的な作品と比べるとちゃんと展開があって映画然としている。
しかし分かりやすい映画かというとそうではない。むしろかなり分かりづらい。二人の主人公がいて同時並行的に語っていくのだが、実に面倒くさい語り口。それがミンリャンなんだけど。
シャオカンはなぜあのような凶行をしたのだろうか。普通に考えれば「あの女の子が好きだったから」なんだけど違う気がする。女の子じゃなくてアツーが好きだったんじゃないかなと思った。直近の『日子』は同性愛を扱った作品だったし、そういう含みはありそう。
独特なテンポ感で語られる暗黒青春物語であり、紛れもないミンリャン印の作品である。人にお勧めはしないけどミンリャンをなんとなく追っている身としては興味深かった。