vanilla

わたしを離さないでのvanillaのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.4
最近読んだ『安楽死が合法の国で起こっていること』という本で「臓器移植は生体から採れる方がいい(意訳)」というような記述があってふと思い出したので10年以上ぶりに見た。
『キャシー』『トミー』みたいな短縮系の名前を本名でつけられるのってイギリスでは階級的な意味があったような気がする。

原作はSF要素はふんわりと仄めかし程度に進んでいって、主に主人公から見たルースの挙動を細かく描写したフレネミー的な親友との複雑な三角関係、というイメージだったけど、短くまとめてるので中途半端になってるかなという感想。
明確に違うのは手首にピッてするやつがついてて、柵からは出られないというディストピア要素強めなところ(漫画『約束のネバーランド』は映画版の影響を多めに受けていると思われる)
短くまとめるにはこの視覚的演出のおかげでかなりわかりやすくなってると思う。

この三角関係の機微というのが1番大事な要素なのでそこを描ききれてないのは仕方ないけど残念。
しかしみんなでテレビを見ながらキョロキョロして愛想笑いする一瞬でルースがどんな人間なのかを表現しているキーラナイトレイは上手いなぁと思った。
トミー=アンドリューガーフィールドもこの上なくハマり役だし、セリフの少ないキャリーマリガンもいいし、ルース幼少期役の絶妙に嫌な感じの美人なのもよい。校長先生の冷たい感じもよい。全体的にキャスティングはとてもよい。

日本のドラマ版というのが存在するようなのでそれも見てみようと思う。
同じくカズオ・イシグロの『クララとお日さま』も似たような雰囲気の話だったけど、こちらはタイカワイティティ監督で実写化ということでかなり期待。
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