多摩

わたしを離さないでの多摩のレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
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あんまりテーマを汲み取れなかった気がする。
単に人間を模して作られた存在の自我というブレードランナー的な話ではないような気がした。
最後の生を理解することなく命は尽きる、みたいなニヒルというか無常な感じな台詞から、安直に実存主義的なものを感じてしまったけど、多分そういうのが芯になる話ではないような気がする。
創作や自己表現が死を先送りにしてくれるのではないかと期待してしまうけど、それは魂の存在を示すだけのものであってどんな魂かすらも問題ではない。みたいなくだりとかは特にそういう文脈で受け取りたくなってしまったけど。
クローンと被提供者側の人間を神と人間のアナロジーで捉えるのもなんか違う気がするし、もっと実社会のことを描いた作品のような気もする。
トミーを取られてしまってテープを聴き耽るシーンで"Never let me go"という歌詞も流れていたけど、それだけではないだろうし結局わたしは誰に離さないで欲しかったのかもいまいち分からずじまいだった。
ただ最後までクローンを利用する側の人間の目線で観ていた自覚はあった。
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