Ryo

ローマの休日のRyoのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.3
恋物語の裏にあるのは1人の女性が成長するストーリー。

永続を信じます。人と人の間の友情を信じるように
I have every faith in it... as I have faith in relations between people.

オードリーヘップバーンを大女優にした名作であり脚本家トランボ、赤狩り、戦争、EUなど深い内容の映画である。

ーテーマー
自分の自由を欲してた主人公は人を愛すること、戦争で苦労してる人達を見て自らの自由を犠牲に人類を守ることを決める。シンプルな成長ストーリーだが心打たれる。

お姫様と新聞記者のラブロマンスの裏側に戦争というテーマが隠されています。ヒロインは初めて人を愛することで、戦争で愛する人を失った人々の悲しみ、祈りの壁で戦争で苦しむ人々を初めて実感し、欧州の平和の実現という王女としての使命に目覚めます。
個人の幸せを取ってもよかった王女は自分よりも人類を愛し人類のために働くことを決意する。

ー裏テーマー
戦後のヨーロッパをどうするか。
今作は第二次世界大戦が終わってから8年しか経っておらず敗戦したイタリアは特にひどく廃墟のようになっていた。1953年まさに同時刻ソ連はヨーロッパの東側を仲間に入れ資本主義の西側と対立させようとしました(西ドイツと東ドイツがわかりやすい例です)。せっかく戦争も終わり仲良くしていこうとなってた時にこの東西冷戦が起きたのです。
王女がヨーロッパ各国をハードスケジュールで回っていたのは戦争を続けてきたヨーロッパに対しヨーロッパを一つの国としてEUを作り仲良くしようという運動でアン王女は嫌々回っていました。戦争で苦しんでる人を知らなかったからです。このテーマがローマの休日の裏に隠されてます。

ー主人公の成長ー
長蛇の挨拶で靴は脱ぐ、寝巻きに対して文句は言う、ハードスケジュールに駄々はこねるで最初は子供だった主人公。外に出て主人公の記者と駆け落ちしてもよかったのだが祈りの壁を見てから自分の責任感に気づき帰ることにします。冒頭の舞踏会とラストを比べると成長が一目瞭然です。ミルクとクッキーを断る事で成長したことを表し、舞踏会とラストは“対”の関係にあります。舞踏会では来賓がアン王女の前に出て挨拶をしますが、記者会見では関係が逆になり、アン王女(オードリー・ヘプバーン)が記者達に自ら前に出て挨拶をします。



ー脚本ダルトントランボー
トランボは第2次世界大戦後に赤狩り(共産主義者、関係者を社会から追放する運動)の犠牲になってハリウッドから追放され、仕事を続けるために偽名を使って映画『ローマの休日』などを執筆した脚本家である。
当時資本主義のアメリカと共産主義のソ連は関係が悪化してました。そこで国は赤狩りいわゆる敵国ソ連の思想に近い人の抹殺を開始します。その犠牲にあったトランボは議会侮辱罪で10ヶ月間刑務所にも入れられます。偽名で何作品も作っていたトランボは「黒い牡牛」で再びアカデミー賞を受賞してしまいます。偽名がバレるのも時間の問題だと思ったトランボは自らテレビのインタビューで告白します。ハリウッドのブラックリストの事や家族に迷惑をかけている現状を改善するためです。

上記の内容を見てみるとアン王女の国同士の親善関係についての質問の答え「永続を信じます。人と人の間の友情を信じるように」と言う言葉がすごく深い意味があることに気がつきます。

ーなぜハリウッドでの赤狩りが頻繁に行われていたかー
共産主義=弱い者を助ける=当時のハリウッド映画だからです。しかし当時は差別されていたユダヤ人が映画を作っていました。そんな弱い自分たちを守るために差別するのカッコ悪い、弱いものを助けると植え付けるために取った映画が共産主義と勘違いされ赤狩りにあったそう

ーワンダーウーマンとの接点ー
人を愛し人を守るために立ち上がった女性の物語として非常に似ています。
ワンダーウーマン主題歌「To be Human」Siaはすごくローマの休日とも合います。
「人間らしさとは愛すること
どんなに耐え難い時でも
私は決してあきらめない
人は人を愛してこそ人
どんなに失望しても
私は絶対あきらめない」
男性が歌う「ああ、今、君は遥か遠くて僕の腕は届かないけど」というパートがある。これは王女として遠くの存在になってしまった記者役のグレゴリー・ペックの気持ちとして一致する。