ぺー

Kids Return キッズ・リターンのぺーのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
4.0
映画 キッズ・リターン(1996)日本/108分
監督.脚本 北野武
主演 金子賢 安藤政信
音楽 久石譲

子供から大人になるに連れて犠牲になるものがある。
将来夢見ていた景色とは異なる過酷な社会、自分の好きなことを続けられるか続けられないかの継続力、誰かの言いなりになったまま自己判断できず周りに付いていく事しか出来ない惨めさ、憧れた未来のように生きられない地獄、成功と挫折を必ず味わう人生の分岐点に立たされ葛藤する者、これらのメッセージ性が多く含まれていて今を生きる僕にとって最後の台詞が救われたような気がした。
北野武監督ならではの、映像だけで物語を伝える力は日本最後の希望といっても過言じゃない。いちいち説明臭い台詞も何も無い、感じることが北野武監督作品を観て楽しむポイント。
96年の淡い青色の情景とザラついたフィルム映像にどこか懐かしさを覚える。
唯一、自ら信じてたお笑い芸人が報われてて良かった。
林さん、クズだったな。
「今の若いもん怒鳴るとすぐ辞める」ってこの時代でも通用してたのか驚いた。
シンジがマサルの子分的役割を今まで果たしてきたから、余計な文句を言わずただ周りに流される様子が情けないと感じて、改めて僕自身も何か出来る事はないかなと思った。
初期衝動で影響を受けて何かをやる事って、難しいんだな。
マサルが特にそうだった。これが無理ならこれやろう、みたいな、そしてまた無理だったらこれやろう、とか。
ポルノ映画館で大人のフリして入るのホント笑ったわ。
クスッとして、深くドキッとして、色々体感できた。
学生って、可能性無限大なんだな。大人になったらそれは全て消える。
最近で言えばテレビアニメシリーズ「ぼっち・ざ・ろっく!」を観てギターに憧れた複数の観客が、本編を観てギターをやろうという衝動で、次々に諦めて辞めてギターを売った現象と、本作の内容はとても共通点がある。
ぺー

ぺー