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Kids Return キッズ・リターンのtubure400のレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
3.2
人生のドラマには定量がある、というような映画だと思った。「まだ始まってもいねぇよ」というラストのセリフがどこまでも切なく響くのは、(少なくとも観ている側には)彼らがドラマを使い果たしてしまった、ようにしか見えないからだろう。喫茶店の店員に恋する気色悪い学生にも、意外と実力派の漫才師コンビにもドラマがある。が、それもいつかなし崩しになって終わってしまうだろう、というような醒めた感覚があった。

基本的に本筋に無関係な森本レオと、どことなく青々として、全然楽しくなさそうな学校の閉塞感が悲しい。学校を抜け出して、それぞれの世界へと飛び出していく登場人物たち、ただ、どの世界にも独特の閉塞感があり、落とし穴がある。子どもたちが、出口のない世界から、もう一つの出口のない世界に移動して、また元の世界に戻る(Kids Return)。そこにはもはや居場所はない。悲しそうで、そしてどこまでも無関係な森本レオ。これが北野武のブルースというものか、という、気持ちになった。
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