フィルム・ノワールにしてはユルいしダルい。登場人物が総じてクズなのはともかく、どいつもこいつも頭悪すぎてイライラさせられる。カンも悪けりゃ犯罪センスもない。とてもじゃないが計画が成功するとは思えないから、ハナっから冷めた目で見てしまう。
思うに、赤狩りやらレイシズムに対するメッセージが中途半端に前に出てきてチラつくから、物語の進行が阻害されるんだわ。
とはいえ、ラスト10分の盛り上がりはドン臭いなりにスリリングだったし、焦げてしまえば白も黒もないってオチだけは、ノワールが極まっててヒリついた。
あと、劇伴のジャズもイカしてて、ベラフォンテ御大が歌うライブシーンも良かった(ボーカルを邪魔しながら入れる愚痴が、合いの手としてバッチリ決まってカッチョいいんだ、これが)。