ミシンそば

コーラスラインのミシンそばのレビュー・感想・評価

コーラスライン(1985年製作の映画)
5.0
自分のなかでオールタイムベストには上弦の鬼や下弦の鬼のように明確な序列があって、一位から五位は揺るぎない別格。
だが、その牙城を崩しかねないレベルで好きになれる作品に出逢えた。
それがこのコーラスライン。

むちゃくちゃ聞き覚えがあり、映画を知らずとも聴いたことはないはずがない「One」の調べで心を掴まれる。
華やかだけどスターの添え物、そうとでも言うべきコーラスダンサーを選ぶオーディションを下地としたこの群像劇は、驚くほど場面に変化がなく、また驚くほどミュージックナンバーの歌詞が低俗。

振り付け師ザックの要望に応えて自分を明け透けに語っていく様と、低俗な歌詞と、素晴らしいダンス、及び曲調の奇跡のハーモニーによって、若者がもて余すエネルギーや他者との違いがもたらす苦悩や葛藤、そう言う感情のごった煮を一度に味わわされる様は、情報過多ではあるがそれはもう心地いい。

受かった者にも、落ちた者にも、落とした者にもドラマがあるのは当然(過去も…)。
ミュージカルとしては魅せ方が最高。
そして群像劇として観ても単純に出来が良かった。