このレビューはネタバレを含みます
川端康成の視点が興味深い。年を重ねた落ち着き払い、哀愁深く、至る所に作家川端康成の視座を感じた。しっとりとしている。
雪の描写、冒頭の離れ離れの菫の描写、祇園祭、時代祭、西陣の機織りの職人等、京都が詰まっている。
岩下志麻さんが呉服屋のお嬢さんを演ずるのだが、あまりの清純ぶりに驚いてしまった。
良い着物を沢山お召しになっているようで、着物好きの方も見ていて面白いようだ。
話としては、捨て子が生き別れの双子と出会う話でどこかメロドラマ的。
一方は呉服屋の一人娘。一方は高雄の山で奉公をする貧乏娘。苗子があまりにも自己肯定感のない娘でもどかしい。床を温めてやったりとなんだか、ドキッとしてしまう姉妹愛。何か深い教訓めいたものはなく、風情を感じるばかりの映画ではあるが、恋心がちらちらと揺れていて非常にドキっとする。
祇園祭を口実にデートができる京都の方はロマンチックですね。
なんだかパウル・クレエの抽象画をそのまま帯にしていて、美しいなぁと妙に心に残っている。