キヲシ

愛のメモリーのキヲシのレビュー・感想・評価

愛のメモリー(1976年製作の映画)
3.5
デパルマ監督、ジュヌヴィエーヴビジョルド主演ということで見てみた。後に教会ということがわかるのだが、廟のような建物にバーナードハーマンの不穏なテーマ曲が流れる。脚本はデパルマとポールシュレイダー!これは期待が高まる。不動産を営むコートランド夫妻(クリフロバートソンとビジョルド)がパーティーで踊りカメラが回る。身代金を持って乗り込む外輪船。テレビインタビューに答える捜査官はあまりにも無責任…。建物を模した巨大な墓石。15年後、フィレンツェの思い出のあの教会でサンドラ(ビジョルドの二役)を見かけ後をつける。辿り着いた薄暗い街灯の路地、昼でもステンドグラス越しの微かな明かりしかない教会と修復中の壁画。ヴィルモススィグモンドの撮影が冴える(ハンガリー出身の彼は欧州で名を成してから渡米したものと思っていたが、その輝かしいキャリアは渡米後に築いたようだ)。昼食の場面での夢見心地のロバートソンと戸惑うビジョルドの表情がいい。なんとも危うい感じ。帰宅した二人を迎える家政婦の表情も。豪華な屋敷を探索し、肖像画を見詰めるサンドラ。一方、性急に結婚を進め、精神科医を追い出す目の据わったコートランド。共同経営者が灰汁を抜いたジョンリスゴーみたいって、本人だわ若い。謎が明らかになるまではかなり面白い。ラストはいつもより回ってます。でも、本来は違う結末なはず。「ファントムオブパラダイス」と「キャリー」の間では埋もれるわな。ビジョルドは80年代のアランルドルフ作品「チューズミー」とか「モダーンズ」をまた見てみたい。
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