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泥の河のkurageのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
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宮本輝の処女作を映画化。著者の自伝的作品なのだろう。その後の『螢川』に内容がリンクしていく。ちなみに川三部作は全て映画化され、中でも小栗康平のこの作品が傑作だ。

昭和30年代の大阪の水辺の暮らしを、少年信雄の眼差しで。船で生活する母子の姿が東南アジアで見た人たちと重なる。
お母さん役の加賀まりこは少ない出演シーンで強烈な印象を残していて、覆い被さる男の背にしょった夜叉の彫り物とシンクロして当分忘れられなさそうだ。

一番悲しかったシーンは信雄のお母さんが銀子とお風呂に入るシーン。小学校に入ってから湯船に入ったのが2回目だなんて。米櫃の中に手を入れて「冬でもお米の中はあったかいんだよ」というシーンもじわりじわりと心を揺さぶってくる。
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