アラシサン弐

泥の河のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.5
キツめの現実の中で、子供たちの健気さと純粋さと残酷さみたいなものが輝いてる。
飯屋のテレビを窓から覗いたり、米櫃に手を入れて暖を取ったり、船での用の足し方を楽しそうに話したり。
貧乏の中での楽しさも哀しさも、子供の純朴さによってほのぼのとしたものに濾過されてた(それでも内容はキツかったけど)。

テーマとしては貧困や戦後でもあるけど、個人的には、子供と大人の分かりあえなさ、みたいなものを感じた。

大人からしたら些細なことが、子供からしたら重要で意味のあることだったりするんだよな。

子供には残酷で気まずい現実を悟られるように振る舞う父と母や、優しい馬車引きのおっちゃん、そして子供目線でも妖艶過ぎる出で立ちのきっちゃんママ。
登場する大人たちがみんな良い人間だから、ラストにかけての展開に威力があって辛かった。

男に抱かれるきっちゃんママと、蟹に火を点けるきっちゃんを見て、のぶおちゃんが何を思ったのか。あの表情にすべてが詰まってた。
「喧嘩したんとちがう」は、本当のことなんだよな。
アラシサン弐

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