ヒラリー

泥の河のヒラリーのネタバレレビュー・内容・結末

泥の河(1981年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

どうしようもないことやけど子供からしたらそないなこと分からんし…無垢な子供に現実を知らしめる残酷物語…
食堂を営む両親と一人息子の信雄
戦後10年、商売もなんとか上手いこといってる家族
信雄に馬をやると約束してすぐに轢かれて死んでしまったおじさん
さっきまであんな元気だったのに、幼いながらに突然死というものを知る信雄…
橋の上で知り合った自分と同い年のきっちゃんは学校に行ってなくて対岸に停泊する郭船住んでいる。
お父さんは立派な船頭さんやったらしいが亡くなってしもて、お母さんと姉弟の3人で住んでるらしい。
女手一つで育てるには難しく手段は限られる。
姉弟が客引きしてるところも見られてて、故に噂はすぐ広まる。
子供ながらに施しを与えようという気持ちとそれを相手からすると憐みと感じてしまうかもしれない葛藤
ラムネを川に投げる姿を見ながら信雄は優しい、優し過ぎるなぁ。
信雄は何も知らんから家に呼んだり、一緒に遊ぼうと誘ったり。
親から言われてる子や事情を知ってる大人は二人を邪険にする。
この子達は悪くないんやけどな、昔は今よりも世間体を気にするから余計にね。
きっちゃんが歌歌った瞬間選曲で食卓の空気が凍ったのはびっくりした。
生活の違う子供、流行りの歌とかやのうて戦争の歌…2番は余計やと思うで父ちゃん…
父ちゃんおらんくて二人で行くお祭り
一人50円ずつ、金魚すくいが5円なんやったら結構いい額なんちゃうかなぁ。
それをよその子とうちの子、合計100円出すお母ちゃんもまたきっちゃんに対して憐みを感じてるやろなぁとか思ったり。
銀子は少し大きいから分別つくし遠慮もする。対してきっちゃんはまだ子供、信雄も。
きっちゃんに50円預ける手のシーンでこれは絶対…と思ったよ。どう見てもフラグ。
地べた這いつくばって探すきっちゃんと膝をつくだけの信雄に恥とか他人からの目を気にするとかの感じ方の違いを感じたり。
詫び言うても何も持ってないから蟹を出してマッチで火をつけるきっちゃん
何も持たん代わりに自分よりも弱い立場のものを虐めるみたいな、それを無意識的に罪の意識なくしてる。
普通やないねんな、狂気じみたものを感じた。
誰も説明してくれんかったけど覗いたことによって初めて知った事と自分の家庭との違い、現実ってほんまに残酷よ。
去る船を黙って追い続ける信雄
きっちゃんの名前を叫んでもきっちゃんは顔を出さんし応えてもくれん。
人は出会いと別れを繰り返すものだと分かってるけどやっぱ寂しいもんやね。
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