このレビューはネタバレを含みます
一色まことの「ピアノの森」を読んだあとなのでピアノの作品を。
演奏者は音楽に追い詰められて、それでも乗りこなす精神のタフさが必要なんだと教えてくれる。
ラフマニノフのピアノで彼の精神は崩れてしまったけれど、もとより彼の精神の器は難曲に耐えられるような大きさではなかったのかもしれない。ピアノばっかり弾いていても精神は大きくならないし、表現も広がってゆかない。いや、もちろん父親が精神を大きくさせるように育てなかったのが悪い、と思うけど。
それでも彼が幸運だったのはまだピアノが弾けたこと、周りの人達に恵まれたことだ。星占いで結婚を決めるのもどうかと思うけれど、映画を振り返ると確かに彼ほど幸運は人はいないんじゃないだろうか、星で結婚を決めるのも判らなくないよね。
結果的にピアノと良き理解者が残ったこの映画は、他のどのフィクション映画よりもハッピーエンドなのかもしれない。