NaoMaru

シャインのNaoMaruのレビュー・感想・評価

シャイン(1996年製作の映画)
3.9
スコット・ヒックス監督作品

オーストラリア出身の天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットの人生を描いたヒューマンドラマ。タイトルの「シャイン(shine)」は日本語で“輝き“と訳される。主演のジェフリー・ラッシュはデイヴィッド中年期を演じて、アカデミー主演男優賞を受賞。実際の人生は映画とは異なるところが多いようで、事実に基づいたフィクションとして観るぐらいでよいのかも。

デイヴィッドは少年期からピアノ演奏が大好きで、流麗な調べで地元の人たちを魅了した。厳格な父親は好きなのに反発してしまう、アンビバレントな関係が亡くなるまで続く。大学は父親の反対を押し切って、英国王立音学院に奨学金で留学した。ラフマニノフ、ショパンらの名曲を演奏するため、血の滲む練習に励んだ。大学の演奏会ではラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のピアノを見事に弾いて燃え尽きた。拍手喝采のあと重圧から解放され卒倒し、限界ギリギリだった精神が崩壊した。

前半生は途中まで輝かしいステップを踏んでいくが、精神崩壊以降はピアニストの道が絶たれた。けれども彼の人生が本当に輝くのは後半生である。中年期になり酒場でピアノを弾くと、皆んながとても喜んでくれた。紹介された占星術師、ギリアン・マレーを純粋無垢な思いで好きになる…。自分が幸福になると、周りにも幸福が広がる。劇中のピアノはヘルフゴット本人が弾いている。感動作。
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