NaoMaru

ドラゴン・タトゥーの女のNaoMaruのレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
3.9
デヴィッド・フィンチャー監督作品

映画の舞台はスウェーデンの凍てつく冬の孤島。40年前、財閥ヴァンゲル一族の娘、ハリエットが孤島で失踪した。当主ヘンリックは真相究明を求めて、調査報道のプロであるミカエルに調査を依頼した。その助手は優秀な天才的調査員でありながら、外見・性格とも超個性的な若い女性リスベット。彼女がタイトル名の女性である。

フィンチャー監督は独特なグロい美的感覚で映画をつくり上げる。リスベットの後見人である中年男が彼女へ仕掛けるセクハラ、強姦とそれに対しての彼女の報復はグロさ満点だ。後半に判明する連続猟奇殺人事件の現場もやりきれない。相反してスウェーデンの冬の景色はなんと美しいことか。彼はグロと美景を融合し、独自の世界を創造した。

主演ふたりはキャラがとても魅力的で演技が役柄にピッタリ符合する。ミカエル役のダニエル・クレイグは007シリーズのボンド役とは打って変わって、アクションを封印し渋目のイケおじを演じた。リスベット役のルーニー・マーラはサイバーパンク風の容姿で、ネット情報を縦横無尽に解析して真実を導く。彼女にしては振り切った役で好演した。

観賞者にとって、グロい場面は遠慮したいかもしれない。このグロさは現代社会のリアリティーと捉えればよいのか。それとも、近現代人が陥る精神的偏向性を象徴した表現なのか。いずれにしても財閥一族に現れた殺人鬼の血は、世代を超えて孤島の小さな村を巻き込んだ。物語の全貌が見えたとき、カタルシスによって緊張感が解かれ、ようやく救われた。

【あとがき】
白状してしまうと、ワイはストレスで疲れ果てたとき、猟奇的なグロさを好む嗜好がある。そんなとき北欧発の刑事ドラマを観ることが多いかも。こんなワイって変なんかな…。
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