あんじょーら

ダークナイト ライジングのあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
1.7

このレビューはネタバレを含みます

結果は、残念。


誠に残念ながら「ダークナイト」を上回る映画ではなかったですし、どちらかというと「バットマン・ビギンズ」と同じような作品だと感じました。








前作「ダークナイト」で描かれたジョーカーとの戦いから8年後、ゴッサムシティ(という架空のアメリカの都市)は平和な時間を過ごしていました。この8年の間はバットマンであり大富豪のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は人前には全く姿を表さずに隠遁生活をしています。その屋敷の家政婦として働くセリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)は実は泥棒であり、ウェインに食事を運ぶ役目を利用してウェインの自室に入り込むのですが・・・というのが冒頭です。




とても、とても長い映画でした。全編で165分!2時間45分ですよ!かなりの長丁場でした。で、絵としてはかなり飽きのこない演出や努力がなされていて、確かに綺麗で美しいですし、息を呑む描写もあって良いです。音楽も邪魔にならないで効果音も派手で良いと思います、この映画は娯楽作品ですから、エンターテイメント性が問われるわけで、その点は充分です。新たなバットマンの器械、乗り物出てきますし、そういうガジェットとしても良かったです。冒頭のベイン登場シーンである飛行機のシークエンスも素晴らしいです。



役者さん方、主役(?)のクリスチャン・ベール、相手役ベインのトム・ハーディの肉体、ヒロインのアン・ハサウェイのコケティッシュ、執事役のマイケル・ケインの目の演技、ゴードン本部長のゲイリー・オールドマンの不屈さ、科学者で社長フォックスのモーガン・フリーマンのクール、熱血警官のジョセフ・ゴードン=レヴィットの秘めたる熱さ、それにこのシリーズのあの人たちもチラリと出てきますし、驚いたのがマシュー・「ホテル・ニューハンプシャー」・モディーンが!年取ってる!!びっくり。という大変豪華なキャスティングでして、どの方も頑張ってて良かったです。どちらかというとお姫様的イメージの強かったアン・ハサウェイは特に良かったです。アンニュイな感じも、陰のある過去を背負った感じも良かったですね。もちろんコスプレ的な良さも、特にバットマンと比べて良かったです。ベインの身体つきや声も良かったと思います、あのジョーカーの上を期待されるのを分かって引き受けたトム・ハーディはそれだけで凄い。



問題はストーリィにあるのです、あるいはストーリィとキャラクターの補完関係と言っても良いかと思います。何でゴッサムシティなのか?何故バットマンにこだわるのか?個人的にはこういうひとつひとつの素朴な疑問が次第に積み重なりすぎてどんどん映画の世界に入り込めなくなっていきました。どうしても前作と比べてしまいますが、ジョーカーというキャラクターの深みや、その事に起因するストーリィの練られ方が不自然でなく、浸れるように作ってあるのです。が、本当に残念。最後の方でとある除幕式があるのですが、正直笑いそうになってしまいました・・・



ヒロイズムは注意して扱わないと、ナルシスティックな自己中心性の厭味でしかなくなってしまう部分があるのですが、そんな感じでまとめられてしまっています。なにしろバットマンが世界の中心の物語でしかないんです。




それでも、「ダークナイト」を見た方に、ジョーカーの、ヒース・レジャーの凄さを際立たせたい方に、オススメ致します。





アテンション・プリーズ


ここからネタバレありです。この作品は絶対ネタバレ無しで見るのがオススメなので、もう既に観に行かれた方に読んで頂きたいです。



























































ベインの目的が全然ワカンナイ~なんでゴッサム・シティにそこまでこだわるのか?アメリカの1都市じゃないか?インドだかチベットだかの組織になんでアメリカ人がこんなにたくさんいるのか理解不能。しかも手下たちがベインの言うこと聞きすぎるし自己主張がないことへの説明が全然無いので説得力が落ちる。証券取引所を襲ってその程度の被害かよ!もっといろいろ出来るだろう?スタジアムをわざわざ襲うのもワカンナイ。バットマンの車奪ったなら、最も危険な新しいホバータイプの奴も探すでしょ、普通。バットマンに止めを刺さない理由もイマヒトツだし、ベインの強さを短期間でバットマンが超えるのもちょっとご都合よ過ぎる。身体的強さを、意志の強さで、魂の強さだけで押し切るのか・・・ベインの最後なんかあまりに哀れな扱われ方・・・かわいそうな気さえしてきた。チカラでバットマンをねじ伏せたら、チカラでねじ伏せられる、というマッチョイズムで終わりですか・・・せっかく身体で勝負してるのに、結局撃たれて死ぬならバットマンも最初から撃てよ。



ゴッサム・シティが簡単に隔離されちゃうのも、市民が納得しちゃうのも、意味不明。簡単すぎる。んで、ウェインは殺さないでベイン自身が入れられていた洞窟に入れられる。ココどこ?どの国?多分チベットとかインドとか言うんでしょ?都合よくあと数時間で爆発、という時にやっと帰ってくるなんていくらなんでも都合良過ぎる。ベインとミランダの計画が叶うとベインもミランダも死ぬわけだけど、それは無理心中テロってことですか???そこまでゴッサム・シティにこだわる悪の組織が頭悪すぎる。なんで?が多すぎてどんどん引いてしまった・・・



最後のくだりでミランダが実は、なんて後知恵で付け足された、見ている人を驚かせるためだけじゃないか?ある意味馬鹿にしてるとさえ思った。じゃなんでミランダはウェインと寝た後に自家用ジェットで一緒に逃げようなんていうのか?なんでわざわざ慈善行為を行っているのか?なんでルーシャスを助けるのか?ベインは何でミランダをおとりに使おうなんて言うんだよ?ゴッサム・シティにようやく入ってきた警察が撃たれるシーンにブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)も居たけどなんともないのはどうして?核爆発が起こるなら恐らく放射能汚染もあると思うんですけれど。でも死んでいく、というのはカッコイイよね、バットマンに同化して見れれば。同化してないと結構キツいよね。正体不明と言いつつ、ベインの手下たちにもバットマンはウェインというのがばれているわけですし、そのバットマンを銅像で飾るってのもなんだか悪趣味。



等々、気になる事柄が多すぎて醒めた。つまり、バットマンが死にます、というピークに無理矢理いろいろな都合や時間を重ねているので、破綻がいろいろ出てきちゃう感じなんです。