吉良上野介と勅使饗応役、そして松の廊下と言えば忠臣蔵が有名ですが
この物語はその前年の勅使饗応役(長谷川一夫)のお話、同じく吉良上野介を相手に松の廊下で起きた事件とは一体！？

この作品の吉良(柳永二郎)はお金にがめつくプライドも高くて意地の悪い典型的な悪役
饗応役になった長谷川一夫は賄賂を贈るのを良しとしなかったため、指南が受けられなくなり吉良の嫌がらせ、最悪はお家の一大事も予想された

そこで腹違いの弟(勝新太郎)は一計を案じ、馴染みの女郎岡田茉莉子を身請けし、吉良家にスパイとして送ります(吉良家の側用人小川虎之助も岡田茉莉子のお客でゾッコンなのを利用)
スパイとなった岡田茉莉子は隙をみては饗応のイロハ情報を集め、それを元に長谷川一夫は危機を乗り越えていきます

感想
ストーリーとしてはそれなりに面白いと思う
けど、リアリティで言うとないかなぁって
一番違和感あるのは岡田茉莉子の存在、プロフェッショナル過ぎるw あんな達筆に秘蔵文書を完全コピー出来る上に、庭先に隠れて会話を速記していたり、頭もキレるしスパイがバレそうとかのスリルすらない完璧なお仕事！

賄賂を拒否する長谷川一夫にも違和感
贈る方も受け取る方も正しくないってのは正論なんだけど、その結果お家が家臣が領民が危機なわけで、かといって何か策を考えてたわけでもなくて身勝手かなぁって
で賄賂は拒否っても勝新太郎が持ってきたスパイ文書はちゃっかり受け取ってすまし顔
その文書を手に入れるまでにかかったお金と手間を考えると賄賂のほうが安上がりだしめんどくさくないのに周りは苦労するねーって

あとは、、、最初から最後まで吉良に対して長谷川一夫のほうが格上感出ちゃってるんだよね
吉良がネチネチいじめようとしても長谷川一夫はそれ以上に強い
知らなくて当然、吉良が教えないのが悪いって逆ギレ、怒鳴りつける貫禄
ちなみにオチは接待の余興として、松の廊下で吉良を頭上に持ち上げ高速回転、トドメはぶん投げて鬱憤を晴らします、もはやおじいちゃんイジメw

出演者メモ
一応長谷川一夫が主役だけど、勝新太郎、岡田茉莉子、柳永二郎も出番が多くて群像劇風
脇役では山茶花究、小川虎之助もよく出てくる

勝新太郎はまだ白塗り二枚目路線のころ、はにかんだ笑顔がかわいいです、それ以外は可もなく不可もなく

岡田茉莉子は小悪魔的なかわいらしさ、甘ったるい声にドキドキ
あとは大映出演ってのが珍しい、長谷川一夫や勝新太郎との意外な共演作
調べてみると丁度東宝から松竹に移る間の時期、こんな作品あったんですねー