MasaichiYaguchi

BRAVE HEARTS 海猿のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

BRAVE HEARTS 海猿(2012年製作の映画)
3.6
本作から仙崎は、海上保安官1万3千人の中で、僅か36人しか選ばれないという「特殊救難隊」にいる。
「特殊救難隊」は、高度なスキルと、常に冷静な判断が出来る隊員で構成されたスペシャル集団で、一般の海上保安官では対応困難な救助を行う。
このエリート集団に所属しても、仙崎の「全ての人を救う」というシリーズを通しての気持ちは変わらない。
そして、長年のバディである吉岡との固い絆も変わらない。
映画は、冒頭の海難事故の救助活動からスケール大きく、ダイナミックに幕を開ける。
本作で中心に描かれるのは、ジャンボジェット機の事故。
旅客機と云う、空中の閉ざされた空間で起きた事故は逃げ場が無く、恐怖がひしひしと伝わって来る。
この旅客機には、吉岡の思い人も乗っていて、ストーリーを更にドラマチックに彩っていく。
今回の仙崎達の救助には20分以内と云うタイムリミットが有る。
その上、現場である旅客機内は、着陸の衝撃で破壊され、手荷物等も散らばっていて救助活動は困難を極める。
乗客乗員を全員救助したいと云う仙崎達の熱い思いは、周囲の人々にも大きく広がっていく。
その熱い思いが、「作り物」と云う枠を越え、観ている我々に怒涛の如く押し寄せて来る。
その発する熱は、終盤で描かれる「有り得ない奇跡」に対する「突っ込み」も吹き飛ばしてしまう。
閉塞感に溢れ、明日への希望も抱き辛いこの頃、この作品は、「作り物」や「夢物語」と云う枠組みを越えて、私達に熱い思いや希望を届けてくれているような気がする。