ろく

監督失格のろくのレビュー・感想・評価

監督失格(2011年製作の映画)
4.5
平野にとって映画を撮ること=由美香を撮ることなんだと思う。

平野はAVの監督だ。でもこの映画では全くと言っていいほど絡みはない。過去の由美香のAV出演が少しだけでるだけ。それよりも前半は平野と由美香が二人の愛を、そして映画を確かめるために北海道で自転車で行く。

二人の道行はなんとも愛らしい。文句をいい、そしてたまにお互いを信じ、さらには和解し。ここには最高にやさしい「愛」がある。

でも男と女はそれでもわかれる。なのに監督の平野は「由美香」を愛している。たまにくる電話やメールの相手をし、たまに酒を飲み。二人は付き合ってないけど繋がっている。

でも

35歳の誕生日に由美香を撮ろう。平野はたまたま仕事として由美香と会う。映画を撮るんだ。そう思い平野は由美香のマンションに行く。

ドアホンを押す。だれも出ない。なんども押す。実家に連絡をする。合鍵でドアを開ける。

そこには急死した由美香がいた。

これはもっとも愛している人が死んでしまったことの映画なんだ。由美香の母が泣き崩れる中、平野は警察を呼び事情聴取をこなし、そして由美香の死を「こなしていく」。

そして

5年後。平野は絶叫し泣き、自転車を走らせる。由美香がすべてだったんだ。

僕はこれほど強い愛の映画を知らない。
ろく

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