平野にとって映画を撮ること=由美香を撮ることなんだと思う。
平野はAVの監督だ。でもこの映画では全くと言っていいほど絡みはない。過去の由美香のAV出演が少しだけでるだけ。それよりも前半は平野と由美香が二人の愛を、そして映画を確かめるために北海道で自転車で行く。
二人の道行はなんとも愛らしい。文句をいい、そしてたまにお互いを信じ、さらには和解し。ここには最高にやさしい「愛」がある。
でも男と女はそれでもわかれる。なのに監督の平野は「由美香」を愛している。たまにくる電話やメールの相手をし、たまに酒を飲み。二人は付き合ってないけど繋がっている。
でも
35歳の誕生日に由美香を撮ろう。平野はたまたま仕事として由美香と会う。映画を撮るんだ。そう思い平野は由美香のマンションに行く。
ドアホンを押す。だれも出ない。なんども押す。実家に連絡をする。合鍵でドアを開ける。
そこには急死した由美香がいた。
これはもっとも愛している人が死んでしまったことの映画なんだ。由美香の母が泣き崩れる中、平野は警察を呼び事情聴取をこなし、そして由美香の死を「こなしていく」。
そして
5年後。平野は絶叫し泣き、自転車を走らせる。由美香がすべてだったんだ。
僕はこれほど強い愛の映画を知らない。