hoka

聖なる酔っぱらいの伝説のhokaのレビュー・感想・評価

聖なる酔っぱらいの伝説(1988年製作の映画)
3.0
おそらく炭鉱は廃坑となり、誤って人を殺し国外追放されてパリに行き着いた設定だと思うが、数日は過ごした筈のセーヌ川の橋の袂にしては生活感がないので、日は浅いのかも知れない。

大人の寓話なんだと思うが、彼の幸運は老紳士に会った事から始まっているが、そこから特に悪事を働く事なく過ごしてはいるものの、改心して真っ当に生きる様に過ごすでもなくただ流されて生きている。

ミサに行くタイミングで旧知の人々に会い、約束を果たさぬまま数週間を過ごす。

正直者でお人好しで情にも厚いが、何故か赤ワインの優先順位が異常に高い。

そりゃまあ、S.デュマみたいな女性と過ごせるチャンスは、例え金を取られても抗いようが無いとは思うが、それ以外は何とか後回しにできた筈だ。

24歳で天に召された、か弱い者を助ける聖人マリー・フランソワーズ・テレーズ・マルタンが顕現した時点で、何より優先して返金することができていたら、彼の運命は変わっていたのだろうか?
それとも冒頭の老紳士にあった時点で、彼の運命は決まっていたのだろうか?

或いは全ては酔っ払いの成せる幻影だったのか?

私同様に弱き者には、身につまされる映画だった。
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