聖なる酔っぱらいの伝説の作品情報・感想・評価・動画配信

「聖なる酔っぱらいの伝説」に投稿された感想・評価

真世紀

真世紀の感想・評価

4.4
ルトガー・ハウアーが酒飲みの浮浪者に扮する。橋の下で眠る彼の前に金を差し出す老紳士が。しかもその金は返したければ聖テレーズの教会へ献金してくれという条件。「君は誇り高い男だ」の一言がルトガーを人間らしい生活へ引き戻す。

それまでは寝る前に寝具代わりに拾い集めた新聞をニューススタンドで買い、「今日は誕生日なんだ」と言葉を交わす。もらった金で久々に酒を飲む前に自分の身なりを気にして理髪店へ。そして昔の恋人や友人との再会。引越しの仕事を手伝ったり、お金が入るたびに教会へ向かうも何かが起きて返せないのだが。

人間の尊厳はちょっとしたことから回復するというのがしみじみ伝わってくる作品。
えり子

えり子の感想・評価

4.0
原題通りの邦題がよかった。
やっぱり飲んでしまう最後でした。
物語はキリスト教の寓話からきているのでしょうか。
聖テレーズに愛された男の話。

神聖なるおとぎ話。

ヨーロッパの信仰心の厚さと、豊かな精神性が感じられます。

ストラヴィンスキーの音楽も最高。

出てくる子供たちがみんな天使で、観ていてドキドキしてしまった。
一人旅

一人旅の感想・評価

4.0
第45回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
エルマンノ・オルミ監督作。

パリ市内の橋の下で野宿生活を送っているアンドレアス(ルトガー・ハウアー)は、ある日謎めいた老紳士から200フランを借りる。その時からアンドレアスの身の上に奇妙な出来事が起こり始める・・・。

無欲で優しき心を持ち続けた男に対する救いなのだろうか。

アンドレアスは貧しいが卑屈になることはなく、金も必要とはしていない。それでも、たまたま入ったカフェで仕事が見つかったり、新品の財布に札が入っていたりする。
さらには金だけでなく、昔出会った人々との再会の機会ももたらされる。
過去に懐中時計を譲ってくれた老夫婦や、昔の旧友との再会を果たす。

現実と幻想が入り混じった不可思議な世界。

それはただ単にアンドレアス自身が酔っ払った末に見えたものなのか、それとも、生と死の境界が曖昧になりつつあることを示唆していたのか。
両方受け取れるが、個人的には後者であるように思う。

絶えず流れ続けるBGMが良かった。ガンガン主張して感動を誘ってくるわけではなく、例えるならば図書館で流れているような静かで心地よいBGM。
もっとアッパー系の酔い方をするのだと思っていたが、そんなことはなかったよ
色々と滞納グセのある俺には身に染みる映画だった
ルトガーハウアーはずぶ濡れが映える

このレビューはネタバレを含みます

罪を犯して服役した元炭鉱夫のアンドレアスは、パリのセーヌ川の橋の下で寝泊まりするホームレス。
ある日、紳士に呼び止められて200フランを借りることになり、日曜日の教会ミサでお金を返してくれればよいと約束する。
義理堅いアンドレアスは、約束を守ろうとするが日曜日になるとどうしても教会ミサに行くことができない用事が起きてしまうのだった・・・。


感想
フランス映画独特の雰囲気で、どこまでが幻想でどこまでが現実か分からない不思議な演出が続く、寓話的な物語です。
それもそのはず、この作品は約束を守ろうとした聖人が死と引き換えに果たす美しい物語ではなく、アルコール依存症という病魔の恐ろしさを描いた寓話であるから、彼の視点から妄想と現実が区別つかない酩酊した日々を、神の恩寵から救おうとする天使が手を差し伸べるお話なので、終始摩訶不思議なファンタジーのような演出なのでございます。

お金を手にしたことでアルコールに変えてしまい、誘惑から日曜日の約束を果たすことができないループにはまる主人公は、アルコール依存症で生活が破綻してループにはまる堕落した人間を表現しております。
時折起こるファンタジーな展開は、彼が思い描く理想の妄想であり、惨めな現実から目をそらすためにアルコールを使い、妄想の世界に浸かり込んで逃れられなくなっている様が描かれています。
フラッシュバックのように現れるストーリーだけが、彼が負った罪の過去を表した現実です。

それでもなお聖書にある”丈夫なものに医者は必要だろうか、私が来たのは正しい人を招くのではなく、罪人を招いて罪を悔い改めさせるためです”として、神が天使を遣わしてこの堕落してしまったアルコール依存症の病魔に取り憑かれた男を救うため約束を何度も伸ばしてくれています。
ある意味、信仰を描いた話のようにも見えますが私的解釈では信仰すらもアルコール依存症と対峙するには無意味であるという表現に感じました。
それほど恐ろしい心の病でもあるアルコール依存症が、いかに人間を堕落させて破綻させるのかということが、作品の核となっているように思えます。

200フランを手にして身なりを整え奇跡が起きてアンドレアスは、幸運が巡ってきます。
そしてそれを全てアルコールや人の良さから人に与え、次の日曜日には・・・次の日曜日にはと約束を後伸ばしにします。
本来であればそのお金を元に、仕事を探して生活を立て直すように行動するのが普通ですが、アルコール依存症にハマるとお金=アルコールという単純発想になってしまい、気が大きくなってゆきます。
これはアルコール依存症患者の典型的パターンであり、誘惑に打ち勝つことができない弱い心が病魔として蝕んでいることで、自発的に行動が起こせなくなってゆく精神疾患へとなります。
当然日常生活へ支障が起き始め、定まらない視点、まとまらない思考、気にしなくなる身なり、時間を守ることができなくなるなど、アンドレアスが起こす行動そのものとなっております。
ラストの炭鉱夫の仲間と教会へゆくため出会うシーンでは、それまでの身なりが幻想だったことを示すように、炭鉱の炭で汚れたかのような真っ黒な手に、黒く汚れた歯や口元、贈られた筈のスーツが最初のものになるなど、そこまで起きた出来事が酒場で飲みふけっていた幻想であったことを示しております。

このあまりにも堕落してしまった男の末路で、個人的にはとてもいい話とは思えず、より一層アルコール依存症の恐怖が募るほどショッキングだった印象でありました。

映像はとても芸術的で美しく、女優たちの美しさなどが文豪作品的な芸術性を醸し出しているので、とてもよい作品だったです。

とはいえ、幻想の部分がよく分からない演出でもあり、ラストでアルコール依存症の妄想と気づくまでは、何がなんだか混乱する演出だったので、やや評価を落としてしまいました。

それなりによかったので、3点を付けさせていただきました。

個人的には他の方々とは全く違った視点になったイメージの作品であります。
タイトルが「聖なる酔っぱらい伝説」とあり、聖人の数奇な運命というイメージで鑑賞してしまったからかもしれません・・・。
oVERSON

oVERSONの感想・評価

2.8
ストーリーのシンプルさは好きなので、もっとタイトなつくりの方が良かった。いくら良い表情のできる俳優だからって、その顔ばかり映して保たせなくていい間を保たせてるのは観客の泣き待ちのようで必要性を感じない。
2021-439
taaaaaaa

taaaaaaaの感想・評価

4.2
Blu-rayを入手したので視聴。
ルドガーハウアーとオルミという異色タッグが織りなす寓話。
前年の『偽りの晩餐』でのヴェネチア銀獅子賞に続いての金獅子賞なのね。ネオレアリズモの人だと思っていたけど、80年代の作品もちゃんと脂が乗っている。とにかく、ファンタジーとリアリズムの塩梅が絶妙で味わい深い。そして、ほとんどセリフに頼ることなく、映像で語れている。それこそ音量ゼロにして見ても十分に面白いと思う。寓話っちゃ寓話なんだけど、全然説教臭くなくてなんだか可愛らしいから(終盤のルドガー・ハウアーの唇の色とかは笑えないけど)、楽しんで観られてしまう。トリュフォー作品の如く、街の風景の良さが捉えられている。
sima

simaの感想・評価

5.0
DVD/棚①

会話の無い薄暗い店内で様々な想いの入り交じった複雑な感情がめぐる強い雨音のシーンが好き。
「すべての酔っぱらいに美しい死を与え給え」
引っ越しのバイトもらったバーが「ムッシュとマドモアゼル(1977)」で登場するバーと同じ店舗。
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