Tラモーン

誘惑のアフロディーテのTラモーンのレビュー・感想・評価

誘惑のアフロディーテ(1995年製作の映画)
3.8
めちゃくちゃ面白かった〜!
ウディ・アレン節全開で最高。ここ最近殺伐とした作品ばっかり観てたから、こういうウィットに富んだ大人のラブコメが楽しい。


レニー(ウディ・アレン)とアマンダ(ヘレナ・ボナム・カーター)は養子のマックスを迎え入れる。頭も良く容姿端麗に成長していくマックスを見て、実の母親がどうしても気になってしまうレニー。一目彼女に会いたいと、マックスの産みの親リンダを探し当てるがなんと彼女は娼婦でポルノ女優だった。


相変わらずウディ・アレンの作品は台詞回しのセンスが抜群。

オープニングのギリシア神話合唱団の寸劇からしてナンジャコリャな面白さ炸裂。ストーリーが進むにつれて、この合唱団がナレーターの役割を務めていることがわかるんだけど、これがなかなか癖になる。
"ゼウスよ!折り返し電話をください!"

レニーが養子の産みの親を気にしてしまう背景として、妻のアマンダに次第に相手にされなくなっていく不満があるんだけど、家庭での父親・夫としての情けない言動がたまらなく面白い。
"決めるのはママだがテレビのリモコンの主導権はパパだ"
"風に向かって吐くのはお手のもんだ"

息子の実母が娼婦と知り、動揺するものの彼女に惹かれ、思い、幸せにしたい一心でズブズブ深入りしていくレニー。合唱団の警告なんてなんのその。最初は彼を変態と鬱陶しがるリンダも次第に彼に惹かれていく。
ウディ・アレンの理屈っぽくて神経質で押し付けがましい男が何故だかモテちゃうのは、彼のいつものご都合主義というか、彼の男性性と女性性の現れなんだろうな。
なのに娼婦の元締に脅されるとみっともなくビビっちゃうあたりがまた面白い。
"娼婦に悪知恵を吹き込む奴はブッ殺す"
"本当?銃は何口径?"
"彼の弱点はアキレス腱だが僕は全身だ"

彼がそうしてリンダにご執心している間にアマンダが仕事仲間とただならぬ関係へと心変わりし初めてしまうほろ苦さ。
そんなこととは露知らずリンダの幸せを願いケヴィンを紹介するレニーのお節介がまたせつない。しかしケヴィンとリンダの素敵なデートの最後、なんか良い事言うのかと思ったらなんやねんケヴィン…。
"俺には夢がある。畑の真ん中に立ってたらタカが俺を掴んで飛び立って…🦅"
バカなのかこいつは。


そんなこんなの悲喜交々がありつつも結局は上手いことみんなが幸せに着地するのがウディ・アレンのいいところ。でも結局は彼の奔放で自由な恋愛観に基づいているので、「いやいや許せんやろ!笑」みたいなツッコミを入れたくなってしまう人がいるのも事実。ウディは詰まるところ、寄り道してもちゃんと自分が大切な人の所に最後戻ればいいんじゃない?それ以外は自由にすればいいんじゃない?という考え方の持ち主なのかな笑。

ラストシーン、お互いがお互いの子どもを見せ合うシーン、皮肉であり、コメディであり、感動のファミリードラマであり、笑いながらもすこーし目に涙が浮かんでしまったんだよなぁ。ハラハラしたけど優しい作品でよかった。

ちゃんとスキンヘッドの大男も幸せになってるのは笑った🤣


リンダを演じたミラ・ソルヴィノは変な声だと思ったらヘリウムガス吸って撮影してたって本当⁉︎まぁでもそのせいか、めちゃくちゃ下ネタ言うのに、可愛くて気立てのいいおバカちゃんなキャラが異彩を放っててよかった。
逆にヘレナ・ボナム・カーターは普通の役だと普通に美人だね笑。
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