りょうすけ

カラビニエのりょうすけのレビュー・感想・評価

カラビニエ(1963年製作の映画)
3.5
「カラビニエ」

ゴダールによる戦争寓話。ゴダールにしては、そこまで難解ではないけど、メッセージ性は強い。戦争に行けば、何をやってもいいし、何でも手に入ると騙されて戦争に行った兄弟は戦地でやりたい放題。

根本的にこの倫理観の無さが合わない人も多そうだけど、これこそが真の戦争なのだなと思う。戦地で行われるのは、極悪非道な行いであるけど、戦争の名のもとにそれは正当化されているし、その限りでは、兵士はある程度のところまで来ないとそれに気づくこともできない。

戦争を仕掛けるのは王とか軍のトップなのに、戦地に行くのはいつも平民。そしてうまい口説き文句で徴兵し、行ってはみるものの、得られるものは少ない。ゴダールはこう言った戦争の様を批判したかったんだろうな。

割とコメディタッチで描かれているのに、時々挟まれている実際の戦争映像であったり、兵士たちの悪行が映るとその度に気持ちが揺さぶられる。なんだかんだゴダール作品のなかで結構好きな部類かもしれない。

トランクいっぱいの絵葉書のシーン、80分しか上映時間ないのにそんなにやる?ってくらい長くて笑ったけど、そのおかげで一番印象に残っているシーンでもある。

Au pas, Camarade
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