mitakosama

火の鳥2772 愛のコスモゾーンのmitakosamaのレビュー・感想・評価

2.7
コレもリアルタイムでは見てなく、初見は90年代末の浅草東宝。
ぶっちゃけクオリティの低さにも辟易したが、エンドロール後の制作年に衝撃を受けたよ。
この映画作られたの1980年だぜ!
富野がガンダムのTVを手がけ、宮崎がカリ城を作ったのが79年。
申し訳ないが「嘘ぅ〜ん!手塚ってこのレベルのアニメを80年に発表したの?そりゃ時代に取り残されたと評価されても致し方無いわ!」と思ったわ。

とにかくね、感性が古い!!!!80年代でもあのセンスは無いわ!
メカやクリーチャーのデザインが古いのは言わずもがな。
演出が古いんだよ。クリーチャーが戯れるのが戦前のディズニーの動物キャラの感覚。それとハードSF路線とを同時にやろうとしてチグハグ。
また、フルアニメを目指して絵をいっぱい動かすのは良いのだけど、演出的意図がまるで無い。自動車が走っているのを色んな角度からグルグル描いてみたり、部屋のカット割りで大きくパンしたり、絵を動かす事が目的で演出の為の手段じゃない本末転倒っぷり。
東映動画のメンバーに「手塚さんはやっぱりアニメの事なにもわかってなかったんだね」と言われてもしょうがないよ。

個人的には、手塚のスターシステムもあまり好きじゃない。今作もロックやジーン、ひげおやじ等が出てくる。
特に労働者の監視役にブラックジャックが出てるんだが、キャラ的に浮いてるじゃん。

たぶんね、ストーリーだけなら決してつまんない訳じゃないと思う。そこは手塚の物語構成力だもの。
格差社会と強制労働・環境問題・人類愛、そういう要素をペシミズム満載で組み立てて、希望と救済を描く。
実際ラストに手塚の言いたい事がちゃんと詰まっているので、映画の終盤の畳み掛けはかなり良い。
だからこそ手塚は原作とプロデュースに撤し、演出と制作は他の人に任せるべきだったと思う。

手塚は漫画のパイオニアとして希代のストーリーテラーであり偉大なるクリエーターではあるが、アニメーション作家としての評価は別。そこは混同してはいけない。
mitakosama

mitakosama