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太陽のオリンピア-メキシコ1968-
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『太陽のオリンピア-メキシコ1968-』に投稿された感想・評価

会場に着いて、休憩を含めて170分もあるとわかる。仕事に間に合わないなと、帰ろうかとも思ったが。気も漫ろだったが、柔らかく、空撮から、望遠、俯瞰・仰角、主観、大L・CU、90゚~30゚変切替え、スロー、フォロー・パンニング・ティルト、までが無理なく立体的・優雅流れで、優しく雄大に呼吸するように、親密・親しみやすい空気も醸し出して、組み立てられてて、休憩も長く途中退場を覚悟した後半からは惹き付けられた。
そういうわけで、前半中なら、見落としたかもしれないのだが、ビーモンの8m90の走り幅跳び、日本銅メダルのサッカーと共に、最も当時記憶に残った、表彰台での黒人陸上メダリストふたりの黒手袋の右手突き上げ米国旗否定、のシーンはあったのだろうか。全体の友好ムード(冒頭から「団結と希望」を謳ってる))に水をさすとカットされたのではないか、ということがずっと気になり続けてた(数日後、書いてる。知人に聞くとあったとの事、但し極めて短く切り詰めた描写だったとの事)。
この、スコープサイズを活かした壮麗拡張感・トラブル少の友好ムード強調の心地いい本作に比べ、どこか粒子粗く不安定さもある、スタンダードサイズで、競技のスケール・集中度より、脇や客席に待機したり応援してる、競技ライバルや恋人との、対応、時に競技描写を妨げるナメての縦図も平気の、競技外のトレーナーとの軋轢や選手村リラックス等にも大きく描写を割いた、近場からのこのイベントの多様さ・親密密着感重視の8年後『第21回オリンピック大会』(モントリオール)では、選手村追放の国の選手等、政治に言及してた。深くはないが、空気として。公式記録映画の枠は、広範な層の納得も意味し、冒険がしにくい。それを打ち破れるのは、圧力をものともしない名匠・鬼才クラスということか。2作共に勝敗行方とその結果への執着はそれなりに描かれてるけど、幾つかある状況・キャラ描写のひとつ留まりだ。サウラや林、シュレジンジャーのようにねちっこくバックに入りこむことはしない。河瀬という人は、偶然アマチュアの頃から観ているが、どのクラスの人なのか、未だにピンとこないが。
それにしても、今回スポーツ映画嫌いにしては珍しくこの催し数本観たけれど、スローや空撮の多さが、生テレビ感覚からすると引っ掛かった。陸上のメインやプールでの高飛び込みがやはり映えるはわかるが、近代五種・十種競技の過酷・圧縮描写が好んで取り上げられてて、興味深かった。モントリオール位まではオリンピックにも興味があって、女子体操でのメダルを占めた新旧3人(+逃した1人)のそれぞれの佇まいの交錯・揃い踏みは、そのハイライトだった(私たちの世代ではやはりツリシチェワが秘めたアイドルか。前大会記録映画での方がワン・パートもらって大きく取り上げられてたが、選手生活を締め括る今回の涙もいい。古典的=近代的毅然さの冷たさから透けるホットな人間性。チャスラフスカやコマネチより)。
OPがハイライト