ショウジ

一番美しくのショウジのレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
3.4
本人たちは至って大真面目でも、今の時代に観ると戦時中にやっていたことがいかに滑稽なことだったかがよく表れている映画だった。監督自身も戦争に付随するあれこれをくだらないと思いながら撮っていたんじゃないかと思う。くだらないと思ったことを「くだらない」と声に出して言えなくなった時、何かがヤバい方向に行っていると考えるべきなのかもしれない。

彼女たちが励ましあったり喧嘩したりしながら頑張る姿は青春映画という感じで、人間関係の描き方は普遍性がある。「あの人怒ってる時、左肩が上がんのよ」とかちょっと笑かしにきてるあたりも監督の色が出てると思った。演者に実際に寮生活させて撮ったあたりは、現代で言うところの矢口史靖監督みたい…

国策映画だけれど、軍需工場で働いてた人は休みの日にまで仕事を想起させる映画なんて観たくなかっただろうし、工場で働いてない人が観るとブラックすぎて工場勤めする気が失せること請け合い… まったく戦意高揚しないのに国のお墨付きになっているのが謎だし、当時は一体どんな人が観ていたのかが気になる。
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