朋乃

一番美しくの朋乃のレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
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「小品ではあるが、私の一番可愛いい作品である。」


主役矢口陽子はその後黒澤の妻となる。
彼女が亡くなった後、黒澤はこの映画だけは観ようとせず、晩年になってようやく家族と共に観ることになった。
黒澤の孫が何を勘違いしたのか、「なんでおかんが出てるの?」と言ったという。画面に映る陽子と、黒澤の子である和子の顔が似ていたあまり、あんな古い映像なのに自分のお母さんがスクリーンに写っているように見えたのだ。和子は、その時初めて黒澤が人前で泣いている姿を見たという。(特典 映像黒澤和子インタビューより)


二人が出逢い、時にはぶつかり合いながらも、ハツラツと今をいき続ける青春がそこにはあった。戦時中という状況下にも関わらず、この愛の眼の温かな眼差しを遺した黒澤は、やはり巨匠だった。
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