きゅうげん

CUTIE HONEY キューティーハニーのきゅうげんのレビュー・感想・評価

4.3
「デジタルコミックシネマ」と銘打った、意欲作にして異色作。
『ラブ&ポップ』『式日』と実写ドラマを経た庵野監督が、いよいよ特撮・CGを盛り込んだアクション路線に挑戦です。

カリカチュア度の高いキャラクター、マンガチックな台詞や演技、アニメ的な演出や作劇など、良くも悪くも2000年代らしい雰囲気に当てられている作品です。
けれど軽くて俗っぽい永井豪的なコメディ感性にマッチしてると言えますし、庵野監督らしい鋭く速い観せ方が空気を弛緩させません。
またハニー&夏子のシスターフッド感や、敵組織の“映画クレしん”的ノリなど、類型的であるからこそシンプルでストレートに伝わる強みも。
ラスボス戦もただバトルするわけじゃなく、「愛」についての対話を通して決着するのが良かったです。
コマ撮りアクションとか東京タワー特撮とか、熱意はあるけど……というポイントの見劣り感はまぁ否めず、庵野監督自身も反省点が多い作品としているらしいですが、しかしなかなか偏愛できる魅力ある小品だと思います。
何事もおにぎり食べて「じゃ!」でサッパリ乗り切りたいですね。


ただ個人的には、永井豪作品なら『シン・デビルマン』をみたいんですよねぇ〜。
もちろんヱヴァにそういう側面は多分にありましたし、最近では湯浅監督による素晴らしいリメイク版もありますけど、庵野秀明による永井豪的“黙示録世界”をみてみたい。